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先日、バンコク日本商工会議所が主催したレムチャバン港・ラッカバンICDの視察に参加して来ましたのでその情報をシェアしたいと思います。港には行くことが出来るんですが、港を運営されている方から話を直接聞くことが出来る貴重な体験でした。

レムチャバン港

Mr.Sorop (Director Enginnering at LCB port)によりレムチャバン港ついて解説をしてもらいました。

レムチャバン港の歴史

1987年にタイのチョンブリ県に開港されその後も開発が続けられているタイの主要港です。土地全体の大きさは1,700ヘクタールあり、道路・鉄道・水路と複数の経路で貨物が運ばれます。位置的にはバンコク港から約100km、スワナプーム空港から約95km離れています。

世界でも誇る効率的なシステムで運営されており、年間で10,800,000TEUのコンテナ輸送、また自動車は200万台以上がこの港を使って輸出入されています。また敷地内では風力発電もあり、また港内のグリーン化といった環境対策にも力を入れているそうです。

港には6機のX線が設備されており、全てのコンテナ貨物をX線で確認しています。全てのコンテナをチェックしているというのは意外でした。X線の写真を見せられ何の貨物かを当てさせるクイズがありました。X線検査のトレーニングもしているそうです。

レムチャバン港のバース

レムチャバン港のバースは3つのフェーズに分かれており、フェーズ1は1991年に完成し100%稼働していますが、フェーズ2はまだ開発途中で約65%の稼働です。フェーズ3にいたっては敷地の整備やクレーンなどの設備、またオペレーターがどこになるか これから入札で決まるとのこと。

タイはAECの中心的な位置にありますので、将来の発展に向けたASEAN地域への物流に変化耐性がある開発を手掛けているとの事でした。

フェーズ1:現在 100%稼働中
A0
A1-5
B1-5
海抜 -14m

フェーズ2:約65%稼働
C0
C1-3
D1-3
海抜 -16m

Phase 3: これから開発予定
E0
E1-2
F1-2
海抜 -18.5m

レムチャバン港につながる鉄道

レムチャバン港にはラッカバンICDにつながる鉄道があります。この鉄道の受け入れドッグを6本に拡張する計画があるとの事です。後述しますが現在はこの鉄道の荷役がうまくいっていないのか、ラッカバンICDからの鉄道貨物輸送が有効的に使われていないそうです。その為に渋滞が問題となっています。

レムチャバンタワーから港を一望します。JCCによるとこのエレベーターが頻繁に壊れるとの事。今回は壊れていなかったので無事にタワーに登ることが出来ました。フェーズ1&2、鉄道、緑化された敷地内、X線の設備などが一望出来ました。

HUTCHISON PORTS THAILANDに訪問

次に訪問させもらったのはレムチャバン港のターミナルオペレーターです。HUTCHISON PORT THAILANDは2002年に創業し、レムチャバン港ではA2, A3, C1, C2, D1, D2, D3のオペレーターとして活動をしています。

その中でも特筆すべきは遠隔操作オペレーション。今までのガントリークレーンは人がクレーンの中の作業位置でコンテナを船に積み込み・積み下ろしを操作していました。しかし、この高所作業による作業員の負担は小さくありません。

HUTCHISON PORT THAILANDはそのクレーン操作を最新のテクノロジーを使用してセンターから遠隔操作し作業員の負担を減らしています。確かに遠隔操作が出来れば騒音もないし、休憩は取りやすいし、元の作業場に比べたら快適ですよね。効率的で安全でもあります。コンテナ荷役のミスの軽減に繋がればいいなと思います。

遠隔操作オペレーションがされているターミナルDを視察。ターミナルDはまだまだ開発中でガランとしています。写真では分かりにくいですが無人でクレーンが操縦されています。

ラッカバンICDを訪問

そして最後にラッカバンICDのオペレーターであるEastern Sea Leam Chabang Terminal Co.,Ltd(ESCO)さんを訪問させて頂きました。

ラッカバンのICDはレムチャバン港から約100km、バンコク港から約20kmの位置にあり1996年に開港されました。当時はバンコク港が多く利用されていたので、レムチャバン港をサポートするというのが目的で開港されたそうな。現在はバンコク港の代替え港としてラッカバンICDが使われています。

2017年 各港の輸出入の取り扱いボリューム

LKB 1.4Million TEU/year
BKK 1.5Million TEU/year
LCB 7.8million TEU/year

ラッカバンに集められる貨物はレムチャバンに行きます。とはいえラッカバンICDとバンコク港の取り扱い量は近いものがありますね。

ラッカバンICDのオペレーター

ラッカバンICDは現在 6社のオペレーターによって運営されています。中央に鉄道が通っています。そしてラッカバンといえばレムチャバン港に繋がる鉄道です。ラッカバンICDとレムチャバン港の間の輸送では100%鉄道が使われているわけではありません。トレーラーも使われているのですが、その比率に驚きました。

現在のラッカバン・レムチャバン港 間の輸送比率

・トレーラー:80%
・鉄道:20%

以前はトレーラー60%、鉄道 40%位だったのですが、年々 Railの比率が下がってきているとの事。鉄道が十分に機能しておらず渋滞が深刻な問題となっています。

現在の鉄道の便数:約10便/日
68TEU/便

レムチャバン港から鉄道がなかなか鉄道が来てくれないとの事。理由としてはレムチャバン港での鉄道の荷役・レムチャバン港内での鉄道経路の問題との事でした。

質問タイム

1. 鉄道とトレーラーの使用はだれが決めるの?
船会社が決めます。

2. 鉄道とトレーラーの輸送時間の違いは?
鉄道:早く行けば4時間くらい。※遅い場合20時間かかる場合がある
トレーラー:3、4時間 ※最大6時間くらい

3. 鉄道の遅れのせいで船に乗らない場合のあるのか?
ESCOの取り扱いではない。鉄道が来ない場合、急遽 トラックを手配してレムチャバン港まで貨物を届ける。

4. 荷役の時間はどれくらい?
中に入ってのコンテナの出入りは45分以内でまわっている。トラックの待機時間は不明。

鉄道の改善に関しては政府に働きかけをしなければいけないとのこと。これは民間企業でコントロール出来るところではないそうです。

チャチュンサオICDの建設計画

タイのチャチュンサオ地域に新しいICDが出来て現在の鉄道と繋げる計画があるとの事。あまり詳しいことはまだ分かっていないですが、そういう開発もあるんだなと思いました。

まとめ

今回の視察ではレムチャバン港がASEANの中心として更に発展にあるという事が大きな印象でした。バースを拡大し更なる貨物の取り扱いの為に開発を続けています。またテクノロージーを使った遠隔操作でのオペレーションなど、進化を続けているんだなと感じました。一方でICDに関しては鉄道が上手く機能していないのですが今後の発展に期待です。

実際に現場を見てみないと分からないことが多いです。お客様には今回学んだことをお伝えして行き、円滑な物流サービスを提供できるようにしていこうと思います。