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貨物の輸入手続きをするとき、船に乗った貨物が港に到着してそれを引き出すまでには一連の流れがあります。その中で船会社や税関に必要な書類を提出しなければいけません。船会社はそれらの書類を元に貨物引き渡しの手続きをして、税関では輸入の許可申請の手続きをします。

工業品・食品・化粧品・危険品など、貨物によって必要な書類の内容は異なります。今回は海上輸入における一般的な貨物の場合での貨物の流れと書類の流れについてご説明します。

※船会社への書類の手配などは代理店であるフォーワダーが行いますので、輸入者様が書類を提出する先などはフォーワダーとします。

Arrival Noticeが送られてくる

貨物が指定の港に到着する2〜3日前に“Arrival Notice”という貨物到着のお知らせがフォワダーから輸入者に送られてきます。

この書類にはETA(貨物の到着予定日)や海上運賃(EXW, FOBの場合)や港の諸経費(THC, DOC, D/O)が記載されており、それを支払わないとD/O(Delivery Order)という貨物引き渡し書類を入手する事が出来ません。

本船が港に到着する

貨物を乗せた本船が港に到着します。港が混んでいたり前の船が貨物の積み下ろしを完了していなかったら本船は港に入港出来ません。その際は貨物が港に積み下ろされる日程がずれていきます。

コンテナが港に降ろされる

本船に乗せられているコンテナが次々に港に降ろされていき、所定の保税ターミナル(コンテナ保管場所)に送られていきます。保税地域に置かれている貨物は輸入通関が終わり引き取られるまで「外国にある」という状態です。FCLの場合、輸入通関が完了するまでここでコンテナが保管されます。

LCLの場合

混載便の場合は貨物をコンテナから取り出すためにCFS(Container Freight Station)という保税倉庫にコンテナを横持ち(移動)させます。そこでコンテナを開梱して貨物を取り分けます。これもFCLと同様で輸入通関が完了するまで貨物はここで保管されます。

B/Lの差し入れと費用の支払い

B/L差し入れについて

輸出地側で発行されたB/LはShipperに送られます。そのB/Lを輸入地にクーリエで郵送するのか、まはた輸出地でサレンダーをするのかは輸出者(Shipper)と輸入者(Cnee)の取り決めによります。

詳しくはこちら
B/Lについて解説!まず貿易に使われるB/Lの役割を理解しよう

B/Lがオリジナルの場合 オリジナルB/Lを3部、または裏書き(輸出側・輸入側の2社による)をしたオリジナルB/Lを1部 輸入側のフォワーダーに差し入れます。B/Lがサレンダーの場合 コピーをフォワーダーのカウンターで見せればOKです。

B/Lサレンダーの注意

B/Lサレンダーにしているが輸出地側でB/Lがサレンダーされていないという問題は稀に発生します。

Shipper側がしっかりとしていれば良いのですが、いい加減なShipperは貨物が港に到着してからサレンダー手配をする場合があります。輸入地側から催促されてやっとサレンダー手配をするShipperも少なくありません。

費用の支払い

Arrival Noticeに記載されている費用を輸入地側のフォワーダーに支払う

Arrival Noticeには
・海上運賃(EXW, FOBの場合)
・BAF
・THC
・CFS(LCLの場合)
・CIC
・DOC
・D/O

※船会社や輸入地によって違いはあります。

などの費用が記載されています。これらの費用は船会社による港の諸経費であったり、燃料費、手数料など様々なコストです。この費用を支払わなければ船会社はD/Oを発行してくれません。

D/Oを入手する

B/Lの差し入れと費用の支払いが完了したら、D/Oを入手します。

※日本ではD/O Lessが主流となってきておりますのでオリジナルのD/Oをもらえない場合が増えてきておりますが、貨物を受け取る準備は出来ている状態になっています。

輸入通関をする

貨物を輸入するにはその国の税関に、何をどれくらい、どの目的で輸入するのかを申告しなければいけません。その際に必要な書類が以下になります。

輸入通関に必要な書類

Invoice

商品の内容と価値を証明する。また輸出者と輸入者、取引条件についても記載されています。

Packing List

どの貨物がどの梱包形態で何個 送られてるのかが記載されています。

原産地証明

輸入する貨物が輸出地のものであることを証明する書類です。輸出・輸入する国により特恵関税という優遇された関税制度があり、それを利用することで関税が引き下げられたり、無税になる場合があります。

商品説明サポート素材(写真)

通関士が税関担当者にどういう貨物でどのように使われるのかを説明するのにあったほうがいい資料です。一般の貨物、一般の用途であればあれば不要なのですが、特殊な貨物で特殊な用途に使われる場合は税関にちゃんと説明する必要があります。

税関検査

輸入通関において書面に不備があったり、税関担当者が抜き打ちでランダムに輸入貨物に検査を実施する場合があります。X線にかけるだけのものもあれば、全てを開梱して中身を確認するものもあります。

これは不当にも正しく輸入申告をせずに貨物を密輸をする業者がいたり、コピー品などであったり、事前に輸入登録のない商品を取り締まるなどの目的があります。

輸入許可書を得る

輸入の申告が無事に終わり税関から輸入許可が下りれば、輸入許可書を入手します。

港で貨物を引き取る

・D/O(船会社発行)
・輸入許可書(税関発行)

これらの書類を港に差し入れる。最近はペーパーレスの傾向が強いので実際に書類を差し入れる場合は少ないかもしれませんが、手続きが完了していれば貨物を保税地域から取り出すことができ、輸入者の元に配送する事が出来ます。

まとめ

輸出と同様に貨物が外国に輸入されるということは、物とお金と書類が正しく処理されていないといけません。今回は一般的な流れのみを説明しましたが輸入通関はそれ自体は簡単なものではないので概要だけを理解しフォワーダー に任せることをお勧めします。