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貿易におけるL/Cは、その契約内容や性質によっていくつかの種類に分けることができます。ここでは主なL/Cの種類について解説します。

どのような種類のL/Cがあり、それらがどのように用いられているかを知ることで、L/Cについての理解を深め、実際の取引に生かすことができるかと思います。では早速見てゆきましょう!

L/Cの起源と荷為替信用状

L/C(信用状)というのは、元々は旅行の際に旅行者が携帯することで、旅先でも発行銀行からの資金調達が可能になる旅行信用状から発達したものです。この仕組みが商取引にも用いられるようになったのが商業信用状であり、これが現在一般的にL/Cと呼ばれているものです。

その起源からもわかるように、地理的に離れた場所でも銀行の信用力を利用して資金を動かしやすくするのがL/Cの効力であると言えます。
商業信用状の中でも、輸出者が為替手形を振り出すときに船積書類を必要とするものを特に荷為替信用状と呼びます。

貿易の世界で頻繁に使われるのが、この荷為替信用状です。

クレジットカードなど、国際間で利用可能なサービスが普及した現在、L/Cの起源となった商業信用状はほとんど使用されなくなりましたが、船舶や飛行機による輸送に必ずリスクが伴う貿易の世界ではL/Cはそれをカバーするのに有効な仕組みとして今も役立っています。

貿易取引におけるL /Cの種類

L/Cにはいくつかの種類があり、それらについて知っておくことは貿易取引を行うのに不可欠な知識と言えます。今回はまず取消不能信用状、確認信用状、買取銀行指定信用状等の性質について具体的に見てみましょう。

取消不能信用状と取消可能信用状

L/Cが発行された後に、当事者(ここでは受益者、発行銀行または確認銀行)の同意なしにL/Cを取り消したり、条件の変更をしたりすることができないものを取消不能信用状と呼びます。

これに対するのが、取消可能信用状といって当事者の同意なしにL/Cを取り消したり、変更したりすることができるものですが、こちらは現在使用されることはなく、UCP600からも削除されています。

これは、取り消しや変更が同意なしに行われれば、輸出者にとってのL/Cの意味が薄れるためです。
現在、特に表記のないL/Cに関しては、取消不能信用状として扱われることになっています。

確認信用状と無確認信用状

確認信用状とは、発行銀行あるいは輸入国の信用度に不安がある場合に、発行銀行以外の銀行(通常は、通知銀行が確認銀行となる)が、発行銀行に追加してさらに支払い確約をしている信用状のことを言います。

輸出国における確認銀行は、発行銀行と同様の責任を持つことになるためディスクレがない限り買取に応じることになっています。
確認銀行の責任は、発行銀行の倒産や、輸入国の為替が停止された場合などに確約義務が生じるというものです。

ただし、船積書類にディスクレがある場合には、確認銀行に確約義務はなくなります。そのため、輸出者は船積書類について細心の注意を払う必要があります。

なお、確認信用状にはその旨(Confirmed)の表示が必須となります。

一方、無確認信用状とは発行銀行のみの支払い保証があるL/ Cを指します。

確認信用状とするか無確認信用状とするかは、輸出者の信頼度によって、輸入者がL /C発行依頼時に決定し、発行銀行にいずれかを選択して申し込みます。

買取銀行指定信用状と買取銀行無指定信用状

発行銀行の都合等により、受益者が降り出す手形の買取を特定の銀行(輸出地にある発行銀行の支店等)に限定しているL /Cのことを買取銀行指定信用状と呼びます。

これに対し、買取銀行の指定がなく、受益者が自己の取引銀行において買取をしてもらえるL /Cを買取銀行無指定信用状と呼びます。

通常は、買取銀行無指定信用状とされることがほとんどであり、その場合受益者は有利な為替レートを適用してくれる銀行で買取ってもらうことができます。

なお、どちらかの表示のないL /Cは買取銀行無指定信用状として取り扱われることになっています。
買取銀行が指定されていると、自社銀行経由で指定銀行へ船積書類が行くため受益者にとって手数料や手間がかかることになります。

そのため、受益者は輸入者に依頼して買取銀行指定文言を削除してもらうことが望まれます。

まとめ

今回はいくつかのL/Cの種類を紹介しました。取引において、L/Cを確認信用状や買取銀行無指定信用状とすることで取引におけるリスクやコストをさらに低減することも可能です。

自社や取引先の状況に応じて、最も適切なL/Cの種類を選択することが安全な取引のポイントになります。
次回は譲渡可能信用状や回転信用状、スタンドバイクレジットといった種類について解説します。ではまた!