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【業界動向】MSCが世界初の900隻達成!“単独運航”で南北航路にも注力!

【業界動向】MSCが世界初の900隻達成!“単独運航”で南北航路にも注力! | イーノさんのロジラジ

今回はMSCの最新戦略や日本市場への展開、そして今後の物流トレンドについて解説していきます。

◆ MSC、世界初の900隻突破!1000隻も目前


世界最大のコンテナ船会社であるMSC(Mediterranean Shipping Company)は、今月の第2週の時点で保有船数が900隻に達したと発表しました。
新造船の納入を含めると、船体数は1000隻にも届く見込みだということです。

これまで業界1位だったのはマースクですが、MSCはこの数年で一気に差を広げており、現在の運航能力差は約100万TEU

このスケールの違いが、MSCの「単独運航体制」への自信と直結しているのは間違いありません。

◆ 単独運航は“目的”ではなく“手段” ─ MSCの柔軟戦略


MSCは、2024年2月から長年組んでいた「2Mアライアンス」(マースクとの戦略提携)を解消し、単独運航体制に移行しました。
これについてMSCジャパンの社長・甲斐督英氏は、「単独運航は目的ではなく、顧客ニーズに素早く対応するための手段だ」と語っています。

船会社がアライアンスを組む最大の理由は、船の積載率を上げ、コストを抑え、サービス範囲を広げること。

しかしMSCは圧倒的な船腹量があるからこそ、単独でもグローバルネットワークを維持できる強みがあります。

◆ 南北航路が新たな成長マーケットに


これまでコンテナ輸送は「アジア-北米」「アジア-欧州」などの東西航路が中心でしたが、現在は「欧州-アフリカ」「アジア-南米」などの南北航路に注目が集まっています。
MSCはこの変化に対応し、欧州航路で使っていた2万4000TEU級の超大型船をアフリカ航路へ再配置

甲斐社長は、「数年後には2025年が、物流の流れが東西から南北へ移った“転換点”だったと言われるようになるだろう」と述べています。

特に米中貿易摩擦や地政学的リスクが高まる中、新興国市場へのアクセスの柔軟性は、今後の海運会社にとって不可欠な戦略と言えるでしょう。

◆ 日本市場では“港湾整備”がカギ


では、日本市場においてMSCはどのような戦略を描いているのでしょうか?

現状、MSCは横浜港を基軸としたフィーダーサービス(Origami・Kaguya)を展開しています。

しかし日本の港湾は水深が浅く、現在の超大型船(18メートル以上必要)が入港できる港はごくわずか

港湾インフラの整備が追いついていないのが現実です。

このためMSCとしても、今のところは大型船の直接寄港ではなく、フィーダー便による接続が主力になっています。

また、アジア域内航路では競合も多く、MSCは「フィーダー機能に特化した運航」が中心であり、専用航路としての競争力強化は今後の課題としています。

◆ 【あとがき】病室からお届けしてます!


ちなみに、この記事を書いている僕は現在入院中でして、実はアキレス腱を断裂して手術を受けたばかりです。
今は京都の病院からこのブログを更新しています。

場所は限られていますが、「継続は力なり」を実感している今日この頃。

早く機動力を取り戻して、また現場に戻りたいと思ってます。

動画視聴はこちらから