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90日間の関税緩和で物流に変化|米中関税戦争は一時停戦か?

90日間の関税緩和で物流に変化|米中関税戦争は一時停戦か? | イーノさんのロジラジ

こんにちは、イーノです。

2025年5月13日の日経新聞にて、「米中関税戦争が90日間の停戦に合意」という注目ニュースが報じられました。今日はこの内容を踏まえて、米中貿易の現状と今後の見通しについて、物流の視点から解説していきます。

米中関税戦争、一時的な緩和措置に合意

アメリカと中国はここ数年、関税の掛け合いによる貿易摩擦を続けてきました。しかし今回、両国は90日間限定で相互に関税を緩和することで合意しました。

具体的には、アメリカが中国からの輸入品に対して課していた145%の関税のうち115%を削減。実質的に30%の関税となります。一方、中国もアメリカからの輸入品に対して、関税を10%に引き下げるという内容です。

背景には「過剰生産問題」や「アメリカの赤字懸念」

この合意の背景には、アメリカ側の以下のような懸念があります。

・中国が政府主導で補助金を投入し、鉄鋼や太陽光パネルの過剰生産を行っている
・それによりアメリカの貿易赤字が拡大し、国内の雇用が奪われている

この構造的な問題は、10年以上前からOECD各国を含め、継続的に指摘されてきたものです。そのため、90日間という短期の措置で解決するには限界があるというのが現実でしょう。

今後想定される動き|「駆け込み輸入」と「在庫調整」

では、今回の関税緩和で物流や国際取引にどのような影響が出てくるのでしょうか?

1. 駆け込み需要の発生

関税が一時的に下がることで、アメリカの小売業者やメーカーが中国製品をまとめて調達しようとする動きが出る可能性があります。

とくに、寝具や日用品などの製造切り替えが難しい製品を中心に、在庫を積み増す動きが出るでしょう。

この結果、海上運賃の高騰やスペース不足など、物流の逼迫が懸念されます。

2. 中国の「脱アメリカ依存」加速

今回の措置が一時的なものであることを踏まえると、中国側は今後の不透明な状況に備え、他国への輸出強化を加速させる可能性が高いです。

すでに、中国企業のマレーシア進出などが始まっており、ASEAN各国との貿易拡大が進むでしょう。

米中関係の行方は?|「小康状態」が続く見込み

90日間の関税緩和は、あくまで一時的な“停戦”であり、根本的な解決には程遠い状況です。

・90日後に再び高関税に戻る可能性
・過去の合意(中国によるアメリカ製品の購入拡大)が履行されていない
・構造問題(補助金、過剰生産、雇用流出)が未解決

こうした点から、米中関係は今後も不安定な状態が続くと見られています。

最後に:本業に集中する時期かも

なお、最近は株価も少し回復傾向にありますね。S&Pなどの指数も上がってきてはいますが、投資はあくまで長期視点が基本。

本業をしっかりやることが、一番のリスクヘッジになると私は考えています。

国際物流や貿易の現場は、こうしたマクロの動きに大きく影響されます。だからこそ、情勢の読みと現場対応のスピードが重要になってくるのです。

まとめ|物流業者・輸出入業者が今できること

・90日間の関税緩和をビジネスチャンスと捉えて、調達戦略を見直す
・米中リスクに備えて、ASEANなど他国との取引ルートを模索
・情報の変化にすばやく対応できるよう、現場との連携を強化

このような視点で、ぜひ貴社の国際戦略にも役立てていただければと思います。

動画視聴はこちらから