投稿日:2025.05.15 最終更新日:2025.05.15
アジア発米国向け輸送が10%増|2025年4月の最新物流データと急成長国とは?

こんにちは、国際物流の現場から最新情報をお届けするイーノです。
2025年4月のアジア発・米国向けコンテナ輸送量(東航コンテナ)が前年同月比で9.7%増加(167万6706TEU)となり、20カ月連続で前年実績を上回る結果となりました。
今回は、アメリカ税関の通関データをもとにしたDescartes Datamyne(データマイン)社の調査結果をベースに、国・地域別・品目別の動向を読み解きながら、今後のサプライチェーン戦略のヒントを探っていきます。
CONTENTS
アジアからアメリカ向けのコンテナ輸送が堅調に拡大
2025年4月実績:前年比+9.7%(167万6706TEU) 1〜4月累計:前年比+10.6%(678万4687TEU)
東航コンテナ輸送は、家具や家電といった生活消費財の需要回復に支えられ、引き続き堅調に推移しています。
国・地域別ランキング:中国一強から東南アジア多極化へ
国・地域 |
4月前年比 |
特徴 |
🇨🇳 中国 |
+6.4% |
最大シェアだが成長はやや鈍化 |
🇻🇳 ベトナム |
+48.2% |
生産移転の恩恵で急成長 |
🇲🇾 マレーシア |
+64.4% |
電子機器の積替・加工拠点として注目 |
🇮🇳 インド |
+10%以上 |
繊維・工業製品の輸出が堅調 |
🇹🇭 タイ |
+10%以上 |
ゴム製品・機械関連が好調 |
🇭🇰 香港/🇯🇵 日本/🇹🇼 台湾 |
減少 |
競争力や地理的条件が影響か |
この結果からは、「脱中国」依存の流れがより鮮明になっていると読み取れます。
米中関係の不透明感を背景に、アジア域内での生産・輸出拠点の分散が進んでいる状況です。
中関税の影響:中国からの輸出は一時的な減少後に回復
2025年3月、中国からの出荷量は前年同月比11%減となりましたが、4月には+5.1%の増加に転じました。
これは米国による新たな関税措置に対する企業側の調整対応が一巡した結果と考えられます。
→ 今後も米中関係次第で不安定な輸送動向になる可能性があるため、中国頼みのサプライチェーンにはリスクが残ります。
品目別の動向:家具・機械・プラスチックが牽引、自動車は不調
品目 |
4月前年比 |
備考 |
家具類 |
+13.6% |
在宅需要・住宅投資の回復が背景 |
機械類 |
+10.7% |
産業・家庭用ともに堅調 |
プラスチック製品 |
+14.6% |
日用品・部品用途ともに拡大 |
タイヤ・アパレル |
+10%以上 |
タイ・インドなどからの輸出増 |
自動車関連 |
−8.6% |
関税・在庫調整の影響で唯一のマイナス |
→ 輸出主力品目が変化してきており、特に家具・日用品・プラスチック関連が回復基調にあります。
一方で、自動車関連は明確に減少傾向にあり、米国のEV政策や関税措置が影響している可能性があります。
今後の注目ポイント:分散型サプライチェーン構築の重要性
今回の統計から見えてくる今後の物流・調達戦略のカギは、以下の3点です。
中国リスクを分散するためのベトナム・インド・マレーシアの活用
品目別に見ると生活消費財や中間財が引き続き伸びる傾向
関税・通商政策の動向を定期的にウォッチする必要性
まとめ|アジアの物流地図が塗り替わりつつある
2025年4月のデータを見ると、アジア発米国向けのコンテナ輸送は引き続き拡大基調にありますが、その中で国別・品目別に明確な変化が起きています。
今後の物流戦略では、「安いから中国」ではなく、「安定・成長性を見込んで東南アジアへ」という視点がより重要になっていくでしょう。
企業の調達・物流担当者の皆さまは、ぜひこうしたデータをもとに、柔軟でレジリエントな国際サプライチェーン構築を進めてください。