投稿日:2025.07.11 最終更新日:2025.07.11
コンテナ船の定時順守率が5月に65.8%まで回復!ジェミニが引っ張るオンタイム輸送

コンテナ船の定時順守率(オンタイム率)が65.8%と、2023年11月以来となる60%台に回復しました。
コロナ禍、港湾混雑、紅海情勢など、ここ数年は“定時運航”なんて夢のまた夢という状況が続いていましたが、ようやく少しずつ安定に向かっている兆しが見え始めました。
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そもそも「定時順守率」ってなに?
まず前提として押さえておきたいのがこの言葉の意味。定時順守率とは、ズバリ「スケジュール通りに港に到着したコンテナ船の割合」のことです。
たとえば、ある月に100本のコンテナ船が運航され、そのうち60本が予定どおりに港に着いた場合、定時順守率は「60%」となります。
これは旅客機の定時率と比べれば低い数値ですが、海上輸送は天候・港湾・政治情勢など多くの不確実要素にさらされており、物流現場では60%超えがひとつの目安とされているのです。
65.8%という回復水準の背景とは?
2025年5月に発表された調査(Sea-Intelligence社)によると、5月の定時順守率は:
・前月比 +7.4ポイント
・前年比 +10ポイント
と、大きく改善傾向にあります。
ここにはいくつかの要因が絡んでいます。
1. コロナ後の混乱からの回復基調
2. 紅海情勢の混乱にも対応力がついてきた
2023年末以降、紅海の安全保障リスクにより多くの船がスエズ運河を回避し、アフリカの喜望峰を経由するようになりました。
これにより所要日数が大幅に増えたものの、船社各社もスケジュール調整や寄港地変更、ブランクセーリングなどを駆使して適応してきた結果が数字に表れてきたのだと考えられます。
船社別で見ると「ジェミニ」が絶好調
特筆すべきは、MaerskとHapag‑Lloydが運営する新アライアンス「ジェミニ・コーポレーション」です。
・全寄港ベース:90.9%
・貿易寄港ベース:88.4%
という驚異的なオンタイム率を記録。
やはり新しいアライアンスがもたらすオペレーション最適化が、定時順守にもプラスに働いているのがわかります。
一方、日本のONE(オーシャンネットワークエクスプレス)は55.1%と、まだ課題が残る状況です。
アライアンス別の定時順守パフォーマンス比較
新アライアンス体制への移行により、Sea‑Intelligenceでは「全寄港(All Arrivals)」と「貿易寄港(Trade Arrivals)」の2つの指標で定時率を集計しています。
アライアンスごとのパフォーマンスは以下の通りです。
ジェミニ・コーポレーション(Maersk + Hapag‑Lloyd)
全寄港:90.9%/貿易寄港:88.4%
MSC(単独)
全寄港:70.5%/貿易寄港:77.9%
プレミア・アライアンス(ONE, HMM, YANGMIN)
全寄港:55.2%/貿易寄港:52.7%
オーシャン・アライアンス(CMA CGM, COSCO、EVERGREEN、OOCL)
全寄港・貿易寄港:57.4%
スケジュールの信頼性が企業活動を左右する
定時順守率の改善は、荷主にとって「見通しが立つ」ことを意味します。
工場での生産計画、小売店のプロモーション、部品の納入計画など、サプライチェーンの安定においてスケジュール信頼性は非常に重要な指標です。
特に今のように、船の遅延がコストに直結する時代には、「ちゃんと届く」ということ自体が価値になる。
その意味でも、今回の65.8%という数字にはポジティブな意味合いがあるといえるでしょう。
とはいえ、油断は禁物
もちろん、まだまだ混乱は続いています。
港湾の混雑や労使問題、航路変更の影響で、船社各社は抜港やスケジュール調整を余儀なくされています。
今後も外部要因で大きく数字が揺れる可能性は高いため、輸出入に携わる皆さんは、数値のトレンドを見ながら柔軟な対応を心がけることが必要です。
まとめ
定時順守率が回復するって、単純に「物流が正しく機能しつつある」という証拠だと思うんですよね。
数字の裏には、現場で働く人たちの努力や調整が詰まっている。だからこそ、数値が改善したときは、それをきちんと評価してあげたい。
そして物流って「当たり前に届く」がすごく大事なんで、ここは今後も注力していきたいと思います。