投稿日:2025.07.23 最終更新日:2025.07.23
日通が300人早期退職を募集!DX化の加速から見える未来

2025年7月、日本通運が発表した「セカンドキャリア支援プログラム」。これは単なる早期退職制度ではなく、物流業界がいま直面している大きな構造変化の象徴と言えます。
物流事務という職種そのものがDXによって不要になりつつあるのです。
今回は、日本通運の発表内容を起点に、物流業界の時代背景、そして今後必要とされる人材像について深掘りしていきます。
CONTENTS
日本通運、300人のセカンドキャリア支援を発表
2025年7月18日、日本通運(NIPPON EXPRESS)が発表した内容は以下の通りです。
対象:所定の職務・年齢・勤続年数を満たす社員 募集期間:2025年8月18日~29日 対象人数:約300人 退職日:2025年9月30日付 特典:定年扱いの退職金+加算金、再就職支援付き
会社側は、この施策の目的を以下のように説明しています。
- 社員の多様なセカンドキャリア実現を支援し、生涯の満足度を高める
- 同時に、組織の活性化と経営環境の変化への迅速な対応を図る
これは裏を返せば、従来の業務モデルでは人員過多になっているということでもあります。
なぜ物流会社は“人がいらなくなっている”のか?
ポイントは「DX(デジタルトランスフォーメーション)」です。
かつて物流業務の中核だった事務作業は次々と自動化されています。
従来の事務作業 | DXによる代替手段 |
---|---|
B/Lやインボイスの入力 | クラウドシステム連携 |
通関書類作成 | NACCSとAPI接続 |
請求書発行 | 自動請求管理ソフト |
倉庫入出庫管理 | WMSとのリアルタイム連携 |
顧客対応 | チャットボット・FAQデータベース |
その結果、「全員を残す必要はない」と企業が判断せざるを得ない状況になっています。
物流会社に人はもう不要なのか?
答えは「NO」です。
ただし、必要とされる人材像が変わってきているのです。
以下のようなスキルが今後求められます:
- 顧客と現場をつなぐ調整力・交渉力
- 突発トラブルへの柔軟な対応力
- 貿易・物流に関する法規制や制度の知識
- DXを理解し、業務フローを最適化できる人
一方で、「単なる転記・処理作業」はすでに自動化が可能なフェーズに入っています。
今、物流業界で働く人が考えるべきこと
「物流事務10年やってきました」だけでは、次のキャリアに繋がらない時代です。
今後必要なのは、以下のような“付加価値型スキル”です:
- 業務改善提案ができる
- 顧客対応で価値を発揮できる
- DXツールを使いこなせる
- 国際物流を支える語学力や異文化理解
まとめ
日通のセカンドキャリア支援は、「人を減らしている」のではなく、必要なスキルを再定義しているというメッセージです。
自分のキャリアが「置き換えられる仕事」か「残るべき仕事」か、今こそ見直すタイミングです。
そしてこれから業界に入る人は、変化を前提としたキャリア設計が求められます。