投稿日:2025.09.03 最終更新日:2025.09.03
コンテナ船社、2025年4―6月期は軒並み減益

今日はコンテナ船業界の最新決算動向についてお話しします。
テーマは「主要船社の4~6月期、軒並み減益」です。
CONTENTS
米国関税の影響で需給が乱れる
2025年春以降、米国の関税政策を巡る動きが業界に大きく影響を及ぼしました。
4月には米中対立により荷動きが一時的に急減。
しかしその後、米中合意により需要が急回復し、北米向け運賃は急騰しました。
ところが、船社が相次いでサービスを再開し供給が増加したことで、6月には運賃が再び下落。
短期間で需給が乱高下した四半期となりました。
各社の決算動向
マースクは輸送量こそ増えたものの、運賃下落と売却益の反動により、海運部門の利益は半減しました。
ただし欧州輸送や保管料、燃料安が下支えとなりました。
CMA CGMは輸送量横ばいながら、平均運賃の下落でEBITDAが20%減。
ハパックロイドはジェミニ体制への移行コストが響いています。
アジア勢も軒並み苦戦。エバーグリーン、陽明、ワンハイ、HMM、ONEのいずれも減益。
中でも陽明は純利益93%減、ワンハイは91%減、ONEも89%減と厳しい数字が並びます。
それでも通期見通しは修正
とはいえ、上期トータルで増益を維持している会社もあります。
マースクは調整後EBITDAを80~95億ドルに上方修正。ジムやハパックロイドも予想の下限を引き上げました。
ただし、通期では大幅減益の見通しに変化はありません。
物流現場への影響
関税の影響で需給が変動すると、荷主にとっては運賃が乱高下し、予算や調達計画が立てづらくなります。
特に今回は、一時的な需要急回復があったことで、運賃の変動幅が大きくなりました。
ブッキングのタイミングや契約形態によっては、損得の差が大きく出た四半期だったはずです。
今後のポイント
今後も関税の動向次第で需給が変わります。
現在も北米向け運賃は低迷しており、新造船による供給過剰リスクも継続中です。
船社側は欠航(ブランクセーリング)や減速運航で対応を続ける見込みです。
荷主側としては、スポット価格に振り回されず、長期契約や複数航路活用でリスク分散を図る必要があります。
今回の決算から読み取れるポイントは、「関税が市場を揺さぶると、運賃が短期で乱高下し、計画が立てにくくなる」という点です。
この状況が続くのか、それとも安定に向かうのか。今後も注視していく必要があります。