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日本郵船、LCO₂輸送で「石油からCO₂へ」大転換

日本郵船、LCO₂輸送で「石油からCO₂へ」大転換 | イーノさんのロジラジ

日本郵船が今、力を入れているのがLCO₂(液化CO₂)輸送事業です。
FPSOやシャトルタンカーで培った海洋事業のノウハウを活かし、CCS(CO₂回収・貯留)需要の高まりに応える動きが加速しています。

海洋事業の拡大と新たな一手

日本郵船は2008年にFPSOやシャトルタンカーを使った海洋事業に参入。

現在ではFPSO6基、シャトルタンカー28隻を運航し、世界シェア3割を占めるトッププレイヤーとなりました。

しかし、石油需要が2030年前後にピークを迎えると言われる中、その先を見据えた成長戦略が必要です。

注目のLCO₂輸送とは?

LCO₂輸送とは、液化二酸化炭素を海上で運搬する事業です。

背景には、CO₂排出削減を目指すCCS(Carbon Capture and Storage)需要の拡大があります。

特にアジアで、CO₂を回収し、輸送し、地中に貯留するという動きが広がっています。

常温昇圧(EP)方式でエネルギー効率化

日本郵船はノルウェーのクヌッツェン社と合弁でKNCCを設立し、EP(常温昇圧)方式を用いたLCO₂輸送を開発しています。

これは、液化CO₂を常温で輸送可能にする技術で、エネルギー消費を抑え、バリューチェーン全体でのコスト削減も可能にします。

海洋事業グループへの移管の理由

当初はグリーンビジネス部門で担当していたLCO₂輸送ですが、FPSOやシャトルタンカー事業の知見を活かすため、2024年4月より海洋事業グループが主導。

石油・ガス事業で培ったネットワークや経験が、この分野でも武器になります。

FPSO事業の今後と慎重な攻め

FPSO事業も引き続き重要で、今後はガイアナ、ナミビアなど新市場での展開が期待されます。

ただし、リース案件の減少資金調達の難しさもあり、より慎重で戦略的な対応が求められます。

まとめ:石油からCO₂へ

日本郵船は、脱炭素社会に向けてLCO₂輸送という新たな成長軸を確立しつつあります。

EP方式による輸送は、環境負荷を減らしつつ収益化も期待できる注目の技術。

石油事業の安定収益と両立しながら、持続可能な未来に向けた動きが加速しています。

今後の海運業において、「石油からCO₂へ」という流れはますます重要になっていくでしょう。