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紅海通航、再開の兆し!停戦合意で動き出す世界物流の回復

紅海通航、再開の兆し!停戦合意で動き出す世界物流の回復 | イーノさんのロジラジ

紅海危機から約1年、ついに動き出した「回復の兆し」

2024年末から2025年にかけて、世界の海運業界は紅海危機に翻弄されてきました。

イエメン周辺での武装勢力による商船攻撃スエズ運河通航リスクの高まり

この影響で、各船社は喜望峰経由の迂回航路を採用し、輸送日数とコストの増加を余儀なくされていました。

しかし、イスラエルとハマスの停戦合意が成立したことをきっかけに、一部のコンテナ船社が紅海航路を再開し始めています。

全面的な安全確保には至っていないものの、これは世界物流における転換点となる動きです。

なぜ紅海航路が重要なのか

紅海は、アジアとヨーロッパを最短で結ぶスエズ運河ルートの要衝です。

世界のコンテナ貿易の約12〜15%がこのルートを通過しており、中東・アフリカ・欧州を結ぶ主要物流の“動脈”といえます。

紅海航路が安全に戻れば、次のような効果が期待されます。

  • アジア発欧州向け輸送のリードタイム短縮(約10〜14日)
  • 燃料費・海上運賃の低下
  • 港湾混雑・スケジュール遅延の緩和

国際物流全体の効率改善につながる重要な動きです。

再開の動きと業界の慎重姿勢

現時点で紅海通航を再開したのは一部の船社に限られます。

大手各社(マースク、MSC、ハパックロイドなど)は、「地域情勢が数カ月にわたり安定するまで本格復帰は見送る」としており、再開はあくまで試験的段階にとどまっています。

とはいえ、こうした小さな動きが市場心理の安心感を生み、各社の間では「どのタイミングで紅海に戻るか」という静かな駆け引きも始まっています。

荷主・物流企業にとってのインパクト

紅海再開の動きは、荷主・物流企業にも大きな影響をもたらします。

喜望峰経由と比べて距離が4,000〜6,000km短縮されることで、1航海あたり数百万〜1,000万ドル規模のコスト削減が可能に。

また、欧州向けの輸送日数が10〜14日短縮されるため、納期の安定化・在庫削減・リードタイム改善にも効果があります。

さらに紅海経由の復活により、代替ルート上の港湾混雑も緩和される見通しです。

ただし、通航再開に伴う運賃変動リスクもあり、荷主は契約見直しやコスト再計算の判断が求められます。

一方で残る不確実性

紅海情勢が完全に安定したわけではありません。

周辺国の政治リスク武装勢力の再活動保険料の高止まり、そして船員の安全確保などの課題は依然として残っています。

多くの船社は限定的な運航にとどめており、全面回帰には数カ月単位の安定期間が必要と見られています。

国際物流の回復は一足飛びではなく、「リスクを取りながら少しずつ戻す」という段階的なプロセスをたどるでしょう。

今後の展望:物流“正常化”への道

今回の紅海通航再開は、長期の混乱を経てようやく見えた「希望のサイン」です。

停戦が続き安全が確保されれば、アジア―中東―欧州ラインが再び活性化し、国際物流が本来の姿を取り戻すでしょう。

それは単なる航路の再開ではなく、貿易と経済活動の再始動を意味します。

紅海の安定は、世界サプライチェーン再結合の第一歩です。

紅海情勢の安定と通航再開は、世界物流の回復と経済再成長への“新たな夜明け”を示しています。

動画視聴はこちらから