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米中の入港手数料、1年間停止へ 緊張緩和と造船業再編の思惑

米中の入港手数料、1年間停止へ 緊張緩和と造船業再編の思惑 | イーノさんのロジラジ

11月5日の開示新聞によると、アメリカが中国関連船舶への入港手数料を1年間停止することを発表しました。

この措置は2025年11月10日から適用され、米中両国が続けてきた「入港料の掛け合い」に一旦の区切りがつく形となります。

背景:米中で続いた入港手数料の応酬

アメリカは2025年10月14日から、中国で建造された船舶や中国系船会社の船に対し、入港手数料(港湾料)を課していました。

これは、USTR(アメリカ通商代表部)が「国内造船業の再生」を目的に導入したもので、“アメリカの港に入るならアメリカ製の船を使え”という強いメッセージが込められていました。

これに対抗して中国側も、アメリカの船や関連企業の船舶に対して同様の手数料を課すと発表。

両国の報復措置の応酬となりましたが、今回の発表でアメリカは1年間の停止を決定し、中国も撤廃の方針を示しました。

ただし、中国の撤廃時期は未定であり、実施時期には不透明な部分が残っています。

米中首脳会談が転機に

発表の直前となる10月末、米中首脳会談が行われました。

トランプ大統領と習近平国家主席が握手する姿は大きく報じられ、両国関係の改善に向けた動きとして注目を集めました。

今回の入港料停止も、その流れを受けた緊張緩和の一環とみられます。

一方で、10月14日以降にすでに支払われた手数料の扱いは明確になっておらず、

返金や調整の有無など、実務的な対応は今後の焦点となりそうです。

停止の背景:インフレ対策と造船業再編の可能性

今回の「1年間の停止」は単なる休止措置ではなく、アメリカの国内政策上の調整期間とも考えられます。

トランプ政権が掲げる「インフレ抑制」や「造船業の再生支援」といった目的が背景にあるとみられます。

また、アメリカが海運・造船業の新たな再編を模索する中で、中国との関係を一時的に落ち着かせる狙いもあると考えられます。

この1年間は、海運政策を再構築するための“冷却期間”になる可能性があります。

今後の注目ポイント

  • アメリカの入港手数料停止は11月10日から発効
  • 中国側の撤廃時期は未定
  • 支払済み手数料の取り扱いが不透明
  • 造船業再編・通商政策への影響に注目

今回の入港手数料問題は、単なる港湾コストの問題ではなく、造船業の再生と国際貿易秩序の再構築に直結しています。

フォワーダーや荷主にとっても、今後の米中関係と海運政策の行方を注視する必要があるでしょう。

動画視聴はこちらから