HPS Trade, a distribution agent
that accelerates business locally in Asia

MENUCLOSE

column

コンテナ不況でも沈まない?マースクが本気で進める多角化戦略のリアル

コンテナ不況でも沈まない?マースクが本気で進める多角化戦略のリアル | イーノさんのロジラジ

正直に言うと、今回のマースクの決算と戦略を見ていて「ああ、ここまで腹を括っているのか」と感じました。

単なる業績解説というより、2026年以降の海運業界をどう生き残るかという強いメッセージが、かなり明確に示されていると思います。

動画視聴はこちらから

マースクはもはや単なる船会社ではない

マースクといえば、世界最大のコンテナ船社というイメージが今でも強いですよね。

ただし彼ら自身は、もう何年も前から「自分たちは船会社ではない」と繰り返し語っています。

目指しているのは、コンテナ物流のインテグレーターという立ち位置です。

つまり、

  • 船で運ぶ
  • 港で捌く
  • 陸送する
  • 通関する
  • 倉庫で保管する

これらをすべて一気通貫で提供する存在になるという戦略です。

数字が示すL&S事業の現状

まずはロジスティクス&サービス、いわゆるL&S事業の数字を見てみましょう。

2025年通期で、売上高は約151億ドル、EBITは約7億ドルとなり、前年比で36%の増益です。

これは明らかに改善している数字です。

ただし、マースクが中期目標として掲げてきたEBITマージン6%には、まだ到達していません。

現時点の水準は4.8%です。

CEO自身も「現状に満足していない」と明言しており、L&Sは成長途中の段階にあると認識していることが分かります。

L&S事業は伸びているが、まだ完成形ではないというのがマースク自身の自己評価です。

対照的に好調なターミナル事業

一方で、はっきりと好調と言えるのがターミナル事業です。

売上高は約20%増、EBITは約31%増と過去最高水準を記録しています。

投下資本利益率、ROICは16.1%に達しており、完全に現在の稼ぎ頭と言える存在です。

この背景にあるのが、ハパックロイドとの新たな提携であるジェミニ・コーポレーションです。

ハブ&スポークを徹底するこの戦略により、マースクの自社ターミナルが主要ハブとして機能し、取扱量が大きく増加しました。

なぜマースクは多角化を急ぐのか

ここが今回の話の核心です。

マースクがここまで多角化を急ぐ理由は、2026年の海運市況がかなり厳しくなると見ているからです。

  • コロナ禍に大量発注された新造コンテナ船の竣工ラッシュ
  • スエズ運河再開による供給過剰リスク
  • コンテナ運賃の下落圧力

マースク自身、2026年の見通しとして、最悪の場合EBITが15億ドルの赤字に転落する可能性まで示しています。

ここまで悲観的なシナリオを公式に示すのは、かなり異例です。

だからこそ、市況の影響を受けにくいL&S事業と、船が動けば必ず利用されるターミナル事業で、利益の土台を固めようとしているのです。

2026年は戦略の答え合わせになる

個人的には、2026年はマースクにとって戦略の答え合わせの年になると見ています。

コンテナ運賃が下落しても、L&Sとターミナルが安定的に利益を生み出せるのであれば、この多角化モデルは正解だったと言えるでしょう。

一方で、L&Sの利益率が伸び悩み、海運部門の赤字を吸収しきれなければ、株主からの視線は一気に厳しくなるはずです。

物流実務者として見ておくべき視点

物流実務者の立場で見ると、非常に重要な示唆があります。

マースクは今後も船だけで勝負する会社ではないという点です。

  • 運賃だけで船社を比較する時代は終わりつつある
  • 港、倉庫、陸送まで含めた全体最適が前提になる

2026年以降は、「どの船社を使うか」ではなく、どの物流プラットフォームを使うかという視点が、より重要になっていくでしょう。

CONTACT US

アジアから、世界を動かせ。

  • CONTACT US
  • CONTACT US
  • CONTACT US
  • CONTACT US
  • CONTACT US