投稿日:2026.03.06 最終更新日:2026.03.06
ホルムズ封鎖で世界の船腹10%が影響?物流が止まる最悪シナリオ
今回は3月4日の海事新聞の記事をもとに、ONEのニクソンCEOが警告した「ホルムズ海峡封鎖という最悪のシナリオ」について整理していきます。
現在の中東情勢は、単なる地域ニュースではなく、世界の物流やサプライチェーンに直接影響するレベルまで緊張が高まっています。
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世界の船腹10%が止まる可能性
ロングビーチで開催された国際会議で、ONEのニクソンCEOはホルムズ海峡の封鎖を「想定し得る中で最悪のシナリオ」と表現しました。
実際、現在ホルムズ海峡周辺では700隻以上の船舶が滞留しており、その中には約100隻のコンテナ船が含まれています。
ただし問題は、直接止まっている船だけではありません。
航路の遅延やハブ港湾での滞留が連鎖することで、結果として世界のコンテナ船隊の約10%が影響を受けていると見られています。
現在の状況
・ホルムズ周辺で700隻以上が滞留
・コンテナ船は約100隻
・連鎖遅延で世界船腹の約10%が影響
なぜここまで影響が広がるのか
ホルムズ海峡は、世界のエネルギー輸送における最大級のチョークポイントです。
海上輸送される原油の約30%、LNGの約20%がこの海峡を通過しています。
さらに現在は地政学リスクの高まりによって、戦争保険の手配が非常に難しくなっています。
つまり、単純に危険というだけでなく、保険で資産をカバーできないため船を通せないという現実的な問題が発生しているのです。
その結果、多くの船社が中東向けの予約を停止し、行き場を失った貨物が欧州やアジアのハブ港に滞留し始めています。
これが港湾混雑を引き起こし、世界の船腹供給を実質的に削ってしまっています。
原油100ドルシナリオも
ニクソンCEOによると、ホルムズ海峡が21日から25日以上閉鎖されると、中東の生産拠点が保管スペースを失い、生産を抑制せざるを得なくなる可能性があります。
その場合、原油価格が1バレル100ドルを突破するシナリオも現実味を帯びてきます。
原油価格が上がれば、当然ながら船舶燃料(バンカーコスト)も急騰します。
本来、現在の海運市場は新造船の大量竣工によって船腹供給が増え、運賃が下がる局面にあります。
しかし今回のような地政学リスクによって船腹の約10%が滞留すると、実際には供給が減ったのと同じ状態になります。
- 燃料費の上昇
- 実質的な船腹不足
この二つが重なれば、海上運賃が高止まりする可能性は十分に考えられます。
ONEの対応とAI戦略
このような不確実性の高い環境の中で、ONEはサービス品質の改善にも取り組んでいます。
ニクソンCEOは、単なる定時到着率ではなく、予約時の到着見込みを守る「DAB(Delivered As Booked)」という指標を重視すると説明しました。
さらにAIを活用して、
- コンテナ需給予測
- 積み付け計画の最適化
- 気象データを活用した航路設計
などを高度化し、業界全体で毎年5%以上の効率改善を目指しています。
また中長期戦略「ONE2030」では、船隊規模を300万TEU水準まで拡大する方針も掲げています。
まとめ
ホルムズ海峡の問題は、単なる中東情勢ではありません。
原油価格、海上運賃、そして世界中の製造業のサプライチェーンに影響するグローバルリスクです。
さらに、今回の緊張によって約4万人の船員が影響を受けているという人道的側面も見逃せません。
荷主や物流関係者にとっては、中東依存のサプライチェーンを見直し、運賃高騰や輸送遅延に備えたリスク管理を検討すべきタイミングに来ていると言えるでしょう。






