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【2025年5月】デミニミスルール廃止で激変!航空貨物とEC物流に何が起きたのか

【2025年5月】デミニミスルール廃止で激変!航空貨物とEC物流に何が起きたのか | イーノさんのロジラジ

2025年5月、アメリカ政府は中国向けの「デミニミス」制度を廃止しました。

この変更により、格安EC商品の航空輸送が壊滅的な影響を受け、 物流業界全体が大きな転換期を迎えています。

今回は、制度変更の背景と、航空貨物市場に起きた変化を詳しく解説します。

「デミニミス制度」とは?

「デミニミス(De Minimis)」とは、ラテン語で「取るに足らないほど小さいもの」という意味です。 貿易の世界では、一定金額以下の貨物に対して関税を免除する制度を指します。


アメリカでは800ドル以下の貨物が対象となっており、 非常に高い水準で関税免除が適用されていました。

この制度を活用し、中国のEC事業者は大量の低価格商品を税金なしで輸出していたのです。

制度廃止と新たな課徴金の導入

2025年5月2日、アメリカ政府は中国向けのデミニミス適用を廃止しました。

「なぜ中国だけ優遇されているのか」という国内の不満が背景にあります。
さらに5月14日から1件あたり100ドルの追加課徴金も導入されました。

この結果、低価格EC商品のアメリカ向け輸出は事実上ストップ従来、毎月10万トン単位で空輸されていた貨物が一気に減少しています。

航空輸送の現場で起きた変化

制度変更後、航空貨物の流れに顕著な変化が現れています。 5月12日~18日の週、アジア発北米向け貨物量は前年同期比で8%減一方、アジア発欧州向けの航空貨物は19%増加しました。

その結果、航空会社は路線の見直しや再編を余儀なくされています。 一部のチャーター便も減便やキャンセルが発生している状況です。

EC優遇から一般貨物へのシフト

これまで航空会社は、急成長するEC物流を最優先してきました。 一般貨物のスペース確保は難しく、料金も割高でした。

その結果、フォワーダーや荷主の一部は海上輸送へ切り替えていました。

しかし今回の制度変更により、航空会社は一般貨物への再配分を進めると見られています。
特にBtoB向け貨物や、利益が見込める案件に注力する流れが強まっています。

高付加価値貨物への集中

今後は、医薬品・半導体・精密機器などの高付加価値品が主力となる見込みです。


「なぜ空輸するのか」がより強く問われる時代に突入しています。

ジャストインタイムや緊急対応など、明確な理由がある場面での空輸が中心になるでしょう。
低価格品の空輸は今後さらに厳しくなると予測されます。

今後の航空業界に求められる転換

航空業界は今、構造転換を迫られています。 EC依存からの脱却が求められ、貨物内容や顧客層の見直しが不可欠です。


また、インフレや為替の影響も加味した柔軟な戦略が必要です。 北米向けEC物流の失速は、エア輸送の在り方そのものを見直す契機となりました。


今後の動向に、引き続き注視が必要です。


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