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【物流業界再編】中堅フォワーダーのM&Aが加速中!物流業界再編の背景と注目企業を解説

【物流業界再編】中堅フォワーダーのM&Aが加速中!物流業界再編の背景と注目企業を解説 | イーノさんのロジラジ

2025年現在、中堅・中小のフォワーダーによるM&A(合併・買収)が世界的に活発化しています。

これは一過性のブームではなく、物流業界の構造変化を反映した重要なトレンドです。

本記事では、なぜ今M&Aが注目されているのか、その背景と戦略、注目企業の事例を紹介します。

成長困難な時代、だからこそ「買って成長する」

コロナ禍を経て、物流業界は急成長 → 混乱 → 調整局面へと移行しました。

そこに加わるのが、世界的な景気減速地政学リスク関税再編といった不確定要素。

こうした中、自然な成長(オーガニックグロース)は難しいのが現実です。

そこで注目されているのが、M&Aによる非連続的成長=インオーガニックグロース

「今の市場は軟調で、自然な成長は見込みづらい。だからこそM&Aが有効な戦略になる」
― AlixPartners ロジスティクス部門 マーク・イアンピエリ氏

中堅フォワーダーが狙う3つの補完領域

M&Aは単なる規模拡大ではありません。

今の物流業界で主流なのは“穴埋め型”の戦略的M&Aです。

中堅フォワーダーが買収で狙うのは、以下の3領域です。

  • 新市場への進出(例:アジア・欧州以外)
  • ネットワークの空白地域の補完
  • 高付加価値分野での専門性獲得(医療、食品、ファッションなど)

事例:Dachserのグローバル拡大

ドイツのDachser(ダクサー)は、過去2年間で8社を買収。

約10億ドルの新たな収益を獲得しました。

狙いは、欧州外の新市場拡大と、高付加価値品(テック、DIYなど)の物流強化です。

スキャン・グローバルの「規模は信頼」戦略

デンマークのScan Global Logisticsは、ここ数年で30か国以上にネットワークを拡大

「世界中に自社拠点があること」=「顧客への信頼」だと位置づけています。

「エンドツーエンドで貨物を管理できる体制が信頼を生む」
― Scan社 EMEAディレクター Rene Bergerling氏

専門性に特化したM&Aも加速

近年は、「売上規模」よりも専門性の高さが重要視されています。

以下は分野別の注目事例です。

  • Toll Group × Transolve Global:豪州のワイン・生鮮物流に特化した企業を買収
  • Hellmann × HPL Apollo:中南米生鮮物流の拡大を狙う
  • Arvato × Carbel & United Customs:美容・Eコマース物流での基盤強化

日本企業も静かに動く

2025年2月、日本郵政がトナミホールディングスを630億円で買収

国内物流の再編と、国際物流強化への第一歩となりました。

資金調達の壁、それでも進むM&A

資金面では依然として課題もあります。

AlixPartnersによれば、関税リスクや市況不安により、金融機関の融資姿勢は慎重になっています。

それでも適切な相手・タイミング・分野を見極めたM&Aは成長の鍵

まとめ:戦略的M&Aは中堅企業の未来を変える

たとえ市場が停滞していても、M&Aを通じて以下のような成長が可能です。

  • ネットワークの拡張
  • 地域・分野の補完
  • 専門性の強化

今後の物流業界では、「ただの輸送業」から戦略型ロジスティクス企業への進化が求められています。

その進化を支える選択肢のひとつが、まさにこのM&A戦略なのです。

動画視聴はこちらから