投稿日:2025.06.19 最終更新日:2025.06.19
【物流業界再編】中堅フォワーダーのM&Aが加速中!物流業界再編の背景と注目企業を解説

2025年現在、中堅・中小のフォワーダーによるM&A(合併・買収)が世界的に活発化しています。
これは一過性のブームではなく、物流業界の構造変化を反映した重要なトレンドです。
本記事では、なぜ今M&Aが注目されているのか、その背景と戦略、注目企業の事例を紹介します。
CONTENTS
成長困難な時代、だからこそ「買って成長する」
コロナ禍を経て、物流業界は急成長 → 混乱 → 調整局面へと移行しました。
そこに加わるのが、世界的な景気減速、地政学リスク、関税再編といった不確定要素。
こうした中、自然な成長(オーガニックグロース)は難しいのが現実です。
そこで注目されているのが、M&Aによる非連続的成長=インオーガニックグロース
「今の市場は軟調で、自然な成長は見込みづらい。だからこそM&Aが有効な戦略になる」
― AlixPartners ロジスティクス部門 マーク・イアンピエリ氏
中堅フォワーダーが狙う3つの補完領域
M&Aは単なる規模拡大ではありません。
今の物流業界で主流なのは“穴埋め型”の戦略的M&Aです。
中堅フォワーダーが買収で狙うのは、以下の3領域です。
- 新市場への進出(例:アジア・欧州以外)
- ネットワークの空白地域の補完
- 高付加価値分野での専門性獲得(医療、食品、ファッションなど)
事例:Dachserのグローバル拡大
ドイツのDachser(ダクサー)は、過去2年間で8社を買収。
約10億ドルの新たな収益を獲得しました。
狙いは、欧州外の新市場拡大と、高付加価値品(テック、DIYなど)の物流強化です。
スキャン・グローバルの「規模は信頼」戦略
デンマークのScan Global Logisticsは、ここ数年で30か国以上にネットワークを拡大。
「世界中に自社拠点があること」=「顧客への信頼」だと位置づけています。
「エンドツーエンドで貨物を管理できる体制が信頼を生む」
― Scan社 EMEAディレクター Rene Bergerling氏
専門性に特化したM&Aも加速
近年は、「売上規模」よりも専門性の高さが重要視されています。
以下は分野別の注目事例です。
- Toll Group × Transolve Global:豪州のワイン・生鮮物流に特化した企業を買収
- Hellmann × HPL Apollo:中南米生鮮物流の拡大を狙う
- Arvato × Carbel & United Customs:美容・Eコマース物流での基盤強化
日本企業も静かに動く
2025年2月、日本郵政がトナミホールディングスを630億円で買収。
国内物流の再編と、国際物流強化への第一歩となりました。
資金調達の壁、それでも進むM&A
資金面では依然として課題もあります。
AlixPartnersによれば、関税リスクや市況不安により、金融機関の融資姿勢は慎重になっています。
それでも適切な相手・タイミング・分野を見極めたM&Aは成長の鍵
まとめ:戦略的M&Aは中堅企業の未来を変える
たとえ市場が停滞していても、M&Aを通じて以下のような成長が可能です。
- ネットワークの拡張
- 地域・分野の補完
- 専門性の強化
今後の物流業界では、「ただの輸送業」から戦略型ロジスティクス企業への進化が求められています。
その進化を支える選択肢のひとつが、まさにこのM&A戦略なのです。