投稿日:2025.06.25 最終更新日:2025.06.26
世界中の港が大混乱!ロッテルダム・シンガポールでも深刻化する“遅延危機”の正体とは?

2025年6月現在、世界の主要港でかつてない混雑と遅延が発生しています。
国際物流情報サービスTRADLINXによると、欧州・アジアの港ではバース待機が平均10日以上となり、通常の約3倍に長期化。
また、世界の港湾の96%で荷役に支障が出ているとのことです。
CONTENTS
欧州の主要港で発生している深刻な事態
● ロッテルダム港(オランダ)
・APMターミナルでストライキ継続中
・待機期間:6~10日超
・沖合での長期待機も発生
● アントワープ=ブルージュ港(ベルギー)
・平均44〜80時間の遅延
・積荷の滞留が深刻で物流に大打撃
アジアでも広がる混雑と逼迫
● 寧波舟山港(中国)
・輸出増により遅延日数が7日→10日に拡大
● シンガポール港
・積み替え貨物で最大2週間遅延
・ヤード稼働率は85%超と逼迫状態
その他の港にも波及
・南アフリカ(ケープタウン、ダーバン)
・米国サバンナ港
・メキシコ・マンザニーロ港
→ いずれも5〜10日程度の遅延
また、上海、ロサンゼルス、ハンブルクでも平均3日の遅延が報告されています。
定時到着率とコストへの影響
定時到着率は59%に低下(コロナ前は80~90%) 滞船料(デマレージ)は1本あたり75〜300ドルの追加コスト
港湾混雑の主な原因
- 労働争議・人手不足:60%
- インフラ老朽化・設備不足:52%
- 貿易政策の変化:44%
- 天候災害:32%
- 地政学リスク:28%
これらの要因が複合的に発生し、港でのコンテナ回転率が低下。
税関処理も滞り、物流障害が世界的に広がっています。
地政学リスクとグローバル物流への波及
・紅海:フーシ派の攻撃によりスエズ回避船が増加 → コスト増・リードタイム長期化
・ハイファ港(イスラエル):主要船社が寄港停止
・パナマ運河:水位低下で通行制限継続中 → 米国東岸向けに遅延
物流業者・荷主が取るべき3つの対応策
① 遅延情報のリアルタイム把握
どの港にどれだけの遅延があるかを可視化し、柔軟な対応に備える。
② 代替港の検討・併用
混雑の深刻な港(例:ロッテルダム、寧波)では、他港との使い分けが重要。
③ コストマネジメントの強化
1本あたり最大300ドルのデマレージを想定した、価格交渉と契約の見直しが不可欠。
④ サプライチェーンの可視化
詰まりポイントを即時確認できる仕組みづくり(TRADLINXの指摘)も重要。
まとめ:混雑は“不可避”、備えが命
港湾混雑が世界的にコロナ後最悪レベルに達しており、
その背景には人材・設備・政策・気候・地政学などのリスクが複合しています。
今、物流業界に求められているのは、「遅延に備えた体制づくり」です。