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中国が日本産水産物の禁輸を一部解除。リーファーに追い風か!?

中国が日本産水産物の禁輸を一部解除。リーファーに追い風か!? | イーノさんのロジラジ

久々に日本の水産・物流業界にとってポジティブなニュースが飛び込んできました。中国が日本産水産物の輸入停止措置を一部解除しました。

対象は福島など10都県を除いた37道府県で、2025年6月29日付けでの決定です。

とはいえ「これで元通りだ!」とはいかないのが現実。

今回は解除の背景物流現場への影響について、冷静に、でも前向きに考えてみます。

なぜ中国は禁輸していたのか?

2023年8月、福島第一原発の処理水放出を理由に、中国は日本全国の水産物を禁輸しました。

IAEA(国際原子力機関)は「安全」と評価し、他国はそこまでの対応は取らなかった中、中国だけが全面禁輸という厳しい措置を取りました。

その背後には、外交・政治的な思惑があったことは否定できません。

結果として、ホタテやナマコなど中国依存の高い産品が大打撃を受けました。

解除されたけど、10都県は引き続き除外

今回解除されたのは北海道、青森、九州など37道府県

しかし、福島・茨城・千葉・東京・長野など計10都県は引き続き対象外です。

さらに中国側は以下を求めています:
水産加工施設の事前登録
放射性物質の検査(毎回)
衛生・検査・産地証明書の提出

「形だけの解除なのでは?」と感じる声もありますが、物流の現場では少しでも流れが戻ることに大きな意味があります。

リーファー輸送、再び動き出すか

注目されるのは、リーファーコンテナ(冷蔵・冷凍コンテナ)輸送の再活性化

たとえば、北海道から中国大連・青島などへのホタテ輸送ルートは、コロナ前までは多く動いていましたが、禁輸で一気にストップ。

今回の解除で限定的にでも再稼働する可能性が出てきました。ただし、禁輸中に輸出先の多角化が進んだことも見逃せません。

アメリカ・ベトナム・タイといった代替市場に慣れた現場では、「中国一択には戻らない」という声も多く聞かれます。

禁輸中、日本はどう動いたか?

重要なのは禁輸中の努力です。

ホタテのように中国依存度が高かった水産品でも、日本の輸出業者は:
アメリカに加工・輸出ルートを再構築
東南アジア経由の三国間貿易モデルを活用
韓国・台湾・欧州への販路を開拓

その結果、2024年のホタテのアメリカ向け輸出は前年比2倍以上の成長を記録。

「中国が戻ったから中国に戻る」時代ではないことが明らかになっています。

物流面ではチャンス。ただし準備が必要

リーファー需要の回復は物流業界にとっては朗報です。

しかし、フルスピードで戻るには時間が必要

・冷凍倉庫
・ドレージ(内陸輸送)
・検査や書類体制

など、現場の調整が欠かせません

まとめ

今回の解除は物流業界にとって「チャンス」です。

ただし、過去の「中国頼み」に戻るのではなく「中国も含めた多国展開」が今後のスタンダード

リーファー物流の波が再び静かに動き出しています。

次のチャンスを逃さないために、今できる準備を—それが今、物流業界に求められていることです。

動画視聴はこちらから