投稿日:2025.07.01 最終更新日:2025.07.01
中国が日本産水産物の禁輸を一部解除。リーファーに追い風か!?

久々に日本の水産・物流業界にとってポジティブなニュースが飛び込んできました。中国が日本産水産物の輸入停止措置を一部解除しました。
対象は福島など10都県を除いた37道府県で、2025年6月29日付けでの決定です。
とはいえ「これで元通りだ!」とはいかないのが現実。
今回は解除の背景と物流現場への影響について、冷静に、でも前向きに考えてみます。
CONTENTS
なぜ中国は禁輸していたのか?
2023年8月、福島第一原発の処理水放出を理由に、中国は日本全国の水産物を禁輸しました。
IAEA(国際原子力機関)は「安全」と評価し、他国はそこまでの対応は取らなかった中、中国だけが全面禁輸という厳しい措置を取りました。
その背後には、外交・政治的な思惑があったことは否定できません。
結果として、ホタテやナマコなど中国依存の高い産品が大打撃を受けました。
解除されたけど、10都県は引き続き除外
今回解除されたのは北海道、青森、九州など37道府県。
しかし、福島・茨城・千葉・東京・長野など計10都県は引き続き対象外です。
さらに中国側は以下を求めています:
・水産加工施設の事前登録
・放射性物質の検査(毎回)
・衛生・検査・産地証明書の提出
「形だけの解除なのでは?」と感じる声もありますが、物流の現場では少しでも流れが戻ることに大きな意味があります。
リーファー輸送、再び動き出すか
注目されるのは、リーファーコンテナ(冷蔵・冷凍コンテナ)輸送の再活性化。
たとえば、北海道から中国大連・青島などへのホタテ輸送ルートは、コロナ前までは多く動いていましたが、禁輸で一気にストップ。
今回の解除で限定的にでも再稼働する可能性が出てきました。ただし、禁輸中に輸出先の多角化が進んだことも見逃せません。
アメリカ・ベトナム・タイといった代替市場に慣れた現場では、「中国一択には戻らない」という声も多く聞かれます。
禁輸中、日本はどう動いたか?
重要なのは禁輸中の努力です。
ホタテのように中国依存度が高かった水産品でも、日本の輸出業者は:
・アメリカに加工・輸出ルートを再構築
・東南アジア経由の三国間貿易モデルを活用
・韓国・台湾・欧州への販路を開拓
その結果、2024年のホタテのアメリカ向け輸出は前年比2倍以上の成長を記録。
「中国が戻ったから中国に戻る」時代ではないことが明らかになっています。
物流面ではチャンス。ただし準備が必要
リーファー需要の回復は物流業界にとっては朗報です。
しかし、フルスピードで戻るには時間が必要。
・冷凍倉庫
・ドレージ(内陸輸送)
・検査や書類体制
など、現場の調整が欠かせません。
まとめ
今回の解除は物流業界にとって「チャンス」です。
ただし、過去の「中国頼み」に戻るのではなく、「中国も含めた多国展開」が今後のスタンダード。
リーファー物流の波が再び静かに動き出しています。
次のチャンスを逃さないために、今できる準備を—それが今、物流業界に求められていることです。