投稿日:2025.07.02 最終更新日:2025.07.02
マースク、関税カオス時代に救世主?AI通関ツールTrade & Tariff Studioを発表!

物流に関わる皆さん、こんな経験ありませんか?
「通関で時間が読めない」「FTAが使えると言われたのに適用できなかった」「各国の規制が複雑すぎて、何が正解かわからない」。
これらは全部、世界中の企業が今直面している“物流のリアル”です。
そんな中、マースクがAI通関ツール「Maersk Trade & Tariff Studio」を発表しました。AIが通関を変える、そんな時代がいよいよ現実になってきました。
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なぜ今、AI通関ツールが必要なのか?
現在、関税制度はめまぐるしく変化しています。突然発表されたかと思えば、すぐ撤回される。
「もはやカオスだ」という現場の声が上がるほどの状況です。
この混乱の中で税関申告を正確に行えなければ、貨物の遅延は避けられません。
マースクのデータによれば、貨物の遅延の20%が通関準備のミスに起因しています。
また、FTAの条件を満たしているのに、実際に適用しているのはわずか50〜55%。
つまり、本来払わなくてもよかった関税を、知らずに払ってしまっている企業が数多く存在するのです。
「Maersk Trade & Tariff Studio」とは?
このツールは、マースクが開発したAI活用の通関・関税最適化プラットフォームです。
2025年6月28日、まず米国向け輸入貨物に対応してローンチされ、8月には全世界展開予定とのこと。
最大の特徴は、マースクがこれまで処理してきた600万件超の税関申告データをAIに学習させている点です。
これにより、他社ツールと比べて「学習スピード」「精度」が圧倒的に高いのが魅力。
また、世界税関機構(WCO)の6,000種類のHSコードと2万以上の下位分類コードに対応。
国ごとに異なる適用基準も踏まえ、AIが最適な判断を自動で行います。
分散型通関からの脱却
現在、多くの企業では国ごとにバラバラの通関業者に依頼しています。
結果、
・データはバラバラ
・コストは不透明
・FTAの活用にバラつき
という非効率な構造になっています。
マースクは、こうしたやり方を「もはやサステナブルではない」と明言。今後はAIによる中央集約型通関への移行が求められるというわけです。
複雑化する規制にもAIが対応
いま企業が直面するのは関税だけではありません。
たとえば、以下のような非関税障壁も増加しています:
・CBAM(EU炭素国境調整措置)
・森林破壊規制
・労働・安全・製品基準に関する多国間規制
このツールには“規制スクリーニング機能”が搭載されており、制裁対象・リスク商品・法規制抵触の可能性がある貨物を事前にアラートできます。
まとめ:通関は「守り」から「武器」へ
今回の発表は、通関や関税対応が単なる業務効率化ではなく、経営戦略に直結するテーマであることを示しています。
「知らなかった」では済まされない時代。
マースクのAI通関ツールは、通関を「コストと信頼を守る武器」に変える可能性を秘めています。
物流・サプライチェーンの未来を変えるテクノロジーが、今まさに動き出しています。