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Appleが15兆円を米国投資へ。トランプ関税を回避する巨大ディールの行方とは?

Appleが15兆円を米国投資へ。トランプ関税を回避する巨大ディールの行方とは? | イーノさんのロジラジ

2025年8月8日、Appleが再び“アメリカ回帰”に舵を切りました。

トランプ大統領とAppleのティム・クックCEOがホワイトハウスで会談し、Appleは約15兆円(1,000億ドル)規模の追加投資を米国に行うと発表しました。

これは単なる企業投資の枠を超え、米中の通商環境やサプライチェーン全体に影響する大きな動きです。

トランプ政権の関税政策が再び火を吹く

トランプ氏は2025年の再登板とともに、スマートフォンや半導体などに最大25%の追加関税をかける姿勢を強めています。

この影響で、AppleのiPhoneが中国やインドで製造された場合に関税対象となり、販売価格や利益率への打撃が懸念されました。

そこでAppleは、米国内での製造体制強化という“関税回避ディール”に踏み切ったのです。

米国内のサプライチェーン再構築

Appleは以下の各国企業と連携し、米国内での半導体供給網構築を進めています。

  • TSMC(台湾)
  • ブロードコム(米)
  • サムスン電子(韓)
  • テキサス・インスツルメンツ(米)

これはグローバルから“米国ドメスティック”への再構成とも言え、物流にも以下のような影響が見込まれます。

  • 輸送距離の短縮によるリードタイム改善
  • 部品調達先変更に伴う在庫配置戦略の見直し
  • 国内生産による生産拠点最適化と輸送コストの再設計

米国内製造が引き起こす“インフレリスク”

AppleのiPhone部品の米国製比率は現在5%未満

これを引き上げるには、米国の高コスト構造が大きな壁になります。

実際に、Wedbush証券は「完全米国製のiPhoneは最大3,500ドルになる」と試算しています。

つまり、関税を回避できても製造原価は上昇し、価格転嫁が避けられない可能性があるのです。

結果、消費者負担やインフレ再燃リスクにもつながる恐れがあります。

まとめ:物流の構造そのものが変わる

今回のAppleの大型投資は、関税という“外圧”によりサプライチェーンを再構築した好例です。
物流業界にとっては、「どこで作るか」が「どう運ぶか」を決める時代が再来したことを意味します。
Appleの動きはまだ始まりにすぎません。これからの変化をいち早く捉え、物流の現場でも対応力を高めていく必要があるでしょう。

動画視聴はこちらから