投稿日:2025.08.18 最終更新日:2025.08.18
ジェミニの戦略:ターミナル投資でスケジュール安定を実現

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新アライアンス「Gemini Cooperation」とは
Gemini Cooperationは、2025年2月に始動した海運業界の新たなアライアンスです。
マースク(Maersk)とハパックロイド(Hapag-Lloyd)という大手2社が中心となり、従来のアライアンスとは異なるビジネスモデルを展開しています。
従来アライアンスとの違い
従来のOcean AllianceやTHE Allianceなどでは、複数船社が運航船を共有し、寄港地やスペースを分け合う仕組みでした。
一方、Geminiではマースクとハパックの2社のみが協力し、より高い運航効率とサービスの一体感を追求しています。
ハブアンドスポーク戦略が中核
Geminiの最大の特徴は、自社運営のハブターミナルに大型船を集中させ、周辺国へはフィーダー船で接続する「ハブアンドスポーク」戦略です。
これにより、港湾の混雑リスクを回避し、スケジュール遵守率を高めることが可能になります。
例:マースクはアントワープ、ハパックはハンブルクやロッテルダムなど、主要港に自社ターミナルを保有しており、荷役効率と運航管理を完全にコントロールできる体制を構築しています。
ターミナル収益とのシナジー
Gemini戦略の背後には、ターミナル事業の収益化という狙いもあります。
自社のコンテナを自社ターミナルで処理すれば、外部に支払う港湾使用料が不要となり、グループ全体の収益を効率的に循環させられます。
他社の動きも活発化
この動きに追随するように、CMA CGM、COSCO、MSCなどもターミナル事業を強化しています。
特にMSCは、2024年以降、欧州・アフリカ・アジアの主要港湾における投資を加速させ、自社ネットワークをロジスティクス全体に広げようとしています。
今後の展望:物流制覇のカギは「港湾」
海運業界では、単に「船を持つ」だけでは差別化が難しくなっており、「港を抑える=物流を支配する」構図が浮き彫りになっています。
Geminiのように輸送・荷役・スケジュールの一貫管理が可能な体制は、荷主にとっても大きな安心材料となるでしょう。
結論:海運は“輸送”から“統合サービス”へ
Gemini Cooperationのような戦略は、今後のグローバル物流を牽引するモデルとなりそうです。
海運企業が自社の港湾インフラと連携することで、より信頼性の高い輸送網が構築されるでしょう。