投稿日:2025.08.19 最終更新日:2025.08.19
北米向けコンテナ運賃が続落、2025年最安値を更新!需給の緩みと不透明な関税政策が影響

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SCFIで判明、北米向け運賃は5週連続下落
2025年5月15日付の上海発コンテナ運賃指数(SCFI)によると、北米向けのスポット運賃は5週連続で下落し、今年の最安値を記録しました。
- 北米西岸向け:1,759ドル
- 北米東岸向け:2,719ドル
この価格水準は2023年12月以来の低水準であり、前年同期比では約70%の大幅な下落となっています。
多くの荷主やフォワーダーが「予想以上の下げ幅」と驚きを隠せない状況です。
なぜここまで下がった?背景にある3つの要因
①供給過剰:世界的な新造コンテナ船の就航ラッシュにより、スペース供給が急増しました。
各船社がブラックセーリングなどで調整を行っているものの、根本的な供給過多は解消されていません。
②ピークシーズン終了:北米市場では例年9月頃までが繁忙期ですが、トランプ関税再導入の不安から、2025年前半に貨物が前倒しで出荷された結果、通常の需要期に入る前に輸送需要が一巡してしまいました。
③トランプ関税の不透明感:再選を見据えた政策によって関税政策の方向性が見通せず、荷主はリスク回避のため早期出荷に踏み切りました。
これにより一時的に需要が集中し、その反動で急落が発生しています。
SCFI全体も下落基調、世界的な運賃安に
北米向けだけでなく、SCFI全体も10週連続で下落しており、世界的に需給バランスが崩れていることを示しています。
- 北欧州向け:1,820ドル
- 南米東岸向け:3,340ドル
- 中東向け:1,381ドル(やや上昇)
特に南米や地中海方面も値下がり傾向にあり、一部航路を除いてほぼ全世界で運賃下落が確認されています。
これは新造船の供給に対して、地政学的な混乱や通関の遅れが緩和され、輸送需要が鈍化していることが背景にあると見られます。
年後半は持ち直すのか?今後の注目ポイント
現在の水準は「底打ち」に近いと見る向きもありますが、反転上昇には決定打となる需要回復が必要です。
アメリカの消費動向や大型小売の発注動向、そしてトランプ関税の本格的な実施有無が、大きく市況を左右すると予想されます。
船会社各社も、ブランクセーリングや寄港地変更などで収支の確保に努めており、今後は航路統廃合やサービス見直しの動きも強まる可能性があります。
物流コストをどう抑えるか?荷主側の戦略が問われる
フォワーダーや荷主にとって、今後の運賃動向は調達戦略を左右する重要な指標です。
スペース確保とコスト抑制の両立が難しくなる局面も想定されるため、複数航路の併用や長期契約の見直しといった柔軟な対応が求められます。