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香港空港の貨物量が2年ぶりに減少 EC物流に打撃を与えたデミニミス撤廃の影響とは

香港空港の貨物量が2年ぶりに減少 EC物流に打撃を与えたデミニミス撤廃の影響とは | イーノさんのロジラジ

香港空港の貨物取扱量が減少に転じました。背景にあるのは、米国で進む関税政策の変更です。特にデミニミスルールの撤廃が、越境ECに大きな影響を与えています。

本記事では、この制度の概要と物流現場で起きている変化を解説します。

6月の貨物取扱量が前年比2%減

2025年6月、香港国際空港の貨物量は40万9,000トンとなり、前年同月比で2%減少しました。

2年ぶりの前年割れであり、特に「積み込み貨物」の落ち込みが目立っています。

米国向けの越境EC荷物が大きく減少したことが、この数字に直結しています。

デミニミスルールとは?

デミニミスルールは、一定額以下の輸入貨物に関税や通関手続きを免除する仕組みです。

これまで米国では、1件800ドル以下の貨物は無税で輸入が可能でした。

この制度により、アマゾン、SHEIN、Temuなど中国系ECが安価な配送を実現できていました。

制度撤廃で何が変わったのか

2025年5月、トランプ政権が中国向けのデミニミスを撤廃。さらに7月末には対象が全世界に拡大されました。

これにより、すべての越境EC貨物が課税対象となり、香港経由の米国向け物流が一気に冷え込んでいます

運賃は一時的に下落も回復の兆し

6月の香港→米国の航空運賃は、1キロあたり5ドルを下回る水準に。

ただし、6月最終週には反転の兆しも見えました。

物流が再調整されれば、今後は運賃も上昇に転じる可能性があります。

世界の動向:アジア強し、北米は苦戦

IATA(国際航空運送協会)は、「アジア太平洋は航空貨物の成長エンジン」としながらも、北米は関税政策の影響で荷動きが大幅に減少していると指摘。

物流構造に大きな変化が生じていることを示しています。

今後の課題と対応

今回の貨物減少は単なる数量変化ではなく、通関・課税制度の大転換によるものです。

物流企業やEC事業者は新たな対応が迫られています
・コスト上昇への備え
・通関プロセスの見直し
・物流ルートの再構築

こうした変化をいち早く読み取り、柔軟に適応することが求められます。

動画視聴はこちらから