投稿日:2025.09.30 最終更新日:2025.09.30
ロジスティード、再上場戦略と筋肉質経営の真価

日本の大手物流企業であるロジスティードが、再上場に向けて本格的な事業戦略を打ち出しています。
2027年度の再上場を目標に掲げ、国際事業の拡大と財務体質の強化を軸に、M&Aやデジタル活用を加速しています。
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ロジスティード、2027年度に再上場へ
2025年9月、ロジスティードは2027年度の再上場を目指す方針を明らかにしました。
中谷康夫 会長兼社長は「海外でトップ5に入るような財務体質を目指す」と述べ、グローバル市場での競争力強化を最重要課題として位置づけています。
主要戦略として示された目標は以下の通りです。
・営業利益率を6%以上に引き上げる
・海外売上比率を46%から50%超へ(2030年まで)
・フォワーディング事業売上を1,300億円 → 2,000~3,000億円へ拡大
国際事業の要はフォワーディングとM&A
ロジスティードはグローバル展開の加速において、フォワーディング事業を中心に据えています。
アジア発着貨物を軸に欧米での競争力を高め、東南アジア・中国・インドの物流ネットワークを活用し、キャリアーからの仕入れ競争力を強化していく考えです。
また「ワン・ロジスティード」のスローガンのもと、海外の契約物流とフォワーディングを統合。
アルプス物流とのシステム統合や新基幹システム導入によって、グローバルで一貫した運営体制を目指しています。
国内では3PLとITで差別化
国内市場でもロジスティードは攻めの姿勢を崩しません。
2024年度の国内売上は約4,500億円、アルプス物流が通年寄与する2025年度は6,000億円に拡大見込み。2030年度には7,500億円を目指しています。
この成長を支えるために、国内でもM&Aや業務提携を進め、サプライチェーン可視化ツールなどITソリューションを導入。
アルプス物流とのシナジーにより、数十億円規模の利益向上も期待されています。
なぜ「筋肉質経営」が必要なのか?
ロジスティードが掲げる「財務体質強化」の背景には、構造的なコスト改革があります。
物流業界では、通関入力やBL/SI作成、倉庫での仕分けといった単純業務が、AI・RPA・BPOに置き換わりつつあります。
つまり付加価値を生まない業務に人材を割けば、競争力を失う時代が到来しているのです。
実際、2025年には日本通運が300人規模の早期退職を募集。
ロジスティードも「人がやるべき仕事は何か?」を問い直し、選択と集中による筋肉質経営を志向しています。
再上場はゴールではなく通過点
再上場は一つのマイルストーンに過ぎません。
真の狙いは、グローバル市場で戦える収益体制と、効率的な物流プラットフォームを持つ“しなやかな企業体”をつくることにあります。
グローバル統合、IT刷新、M&A、そして人件費構造の見直し。
これらはすべて未来の物流業界で生き残るための布石です。
まとめ
ロジスティードの再上場戦略は、単なる経営アップデートではなく、業界が直面する課題に対する先行モデルです。 筋肉質な財務体質を整え、ITとグローバル戦略で攻める。 今後避けられない「再編」と「淘汰」の中で、ロジスティードの動きは物流業界における重要な指標になるでしょう。