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土日も夜も動かない港が増えている話

土日も夜も動かない港が増えている話 | イーノさんのロジラジ

今日は、日本の港でいま静かに進んでいるけれど、実はかなりインパクトの大きい変化についてお話しします。

それが「土日や夜間は荷役しません」という港が全国で増えている問題です。

港って24時間365日動いているもの、というイメージを持っている方も多いと思いますが、現実はもう違ってきています。

動画視聴はこちらから

いま日本の港で実際に起きていること

まず事実関係を整理します。

日本の港湾では、荷役を担う労働者不足が限界に近づいています。

その結果として、「あえて港を止める」という判断が各地で取られ始めています。

具体例を挙げると、すでに全国でこうした動きが出ています。

  • 博多港では2024年秋から深夜時間帯の荷役をトライアル的に停止
  • 北九州港・太刀浦では日曜の荷役を休止し、土曜はゲートクローズ
  • 苫小牧港ではRTG稼働数を減らし、同時荷役を3隻から2隻に縮小
  • 小樽港では2025年4月から土曜日のCYを終日クローズ

九州から北海道まで、地域を問わず同じ現象が起きているのがポイントです。

これは一部の港だけの問題ではありません。

なぜここまで追い込まれたのか

理由は一つではありません。

業界構造として、少なくとも三つの要因が重なっています。

まず一つ目は、慢性的な人手不足と働き方改革です。

港湾労働者は高齢化が進み、若手がなかなか入ってきません。

そこに残業時間の上限規制が重なり、昔のように「残業でカバーする」ことができなくなりました。

二つ目は、コンテナ船の大型化とスケジュール遅延です。

最近のコンテナ船は一隻あたりの荷役量が非常に多くなっています。

さらに海外港の混雑や天候不順で遅延が常態化し、大型船が一気に到着するケースが増えています。

結果として、特定の時間帯に業務が集中し、現場が持たなくなっているわけです。

三つ目は、若年層採用と離職防止のための苦渋の決断です。

夜勤や休日作業が当たり前の職場は、今の若い世代には選ばれにくい。

そこで港運事業者は、あえて「夜はやらない」「日曜は休む」と決めることで、働きやすさを優先しています。

港を止めるのは効率化ではなく、生き残るための選択になりつつあります。

荷主と船社に何が起きるのか

短期的に見れば、荷主や船会社にとっては明確なデメリットがあります。

夜間や週末に貨物が動かせなくなれば、当然リードタイムは伸びます。

バース待ちやCY滞留が増え、全体の回転は鈍くなります。

一方で、記事では平日に人員を集中させた結果、作業効率が上がったというデータも紹介されています。

つまり、港側としては「薄く長く働く」よりも「集中して確実にさばく」方向に舵を切っているわけです。

一番怖いのは日本パッシング

最大のリスクは抜港です。

もし船社から見て「日本の港は使いづらい」「週末に動かない」と判断されればどうなるか。

釜山や中国主要港で積み替えるルートが選ばれる可能性が高まります。

一度抜港されると、その航路を日本に戻すのは簡単ではありません。

これは地方港だけでなく、将来的には主要港にも波及するリスクです。

これから起きそうな二極化

今後は、日本の港湾は二極化していくと考えられます。

  • 地方港は稼働時間を絞り、DXや自動化で平日の生産性を最大化
  • 京浜・阪神などの主要港は国際競争力維持のため24時間体制を模索

ただし後者も、人手確保や投資が追いつかなければ、同じ問題に直面します。

まとめ

日本の港は今、「いつでも動くインフラ」から「持続可能なインフラ」へ転換点に立っています。

この変化は不便さを伴いますが、無理を続けて崩壊するよりは現実的な選択でもあります。

荷主側としても、「港は24時間動く前提」という考え方をアップデートし、余裕を持ったサプライチェーン設計が必要になってきそうです。

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