投稿日:2026.02.06 最終更新日:2026.02.06
自動車船は絶好調 物流は失速 日本郵船決算から見える今の海運市況
本日は2月5日付の海事新聞をもとに、日本郵船の2026年3月期業績修正について、少しカジュアルに現場目線で整理していきます。
数字だけを見ると上方修正で一安心に見えますが、中身をよく見るとかなりメリハリの効いた決算だと感じます。
今回の決算は、「どの船種をやっているか」「どの事業を持っているか」で明暗がはっきり分かれました。
CONTENTS
動画視聴はこちらから
結論から言うと 自動車船が全体を引っ張った
まず結論から言うと、今回の上方修正を支えた主役は自動車船(PCTC)事業です。
輸送需要は引き続き堅調で、通期の輸送台数も上振れています。
それに加えて、今回かなり効いたのが米国で予定されていた追加入港料の徴収が延期されたという点です。
現場感覚で言えば、ここは正直「相当助かった」という話だと思います。
もともとコスト増を織り込んでいたところに延期が入ったことで、想定していた負担が一気に軽くなり、そのまま利益に効いてきました。
一方で物流事業はかなり厳しい
同じ会社の中でも、空気がまったく違うのが物流事業です。
こちらは通期予想を下方修正しています。
理由はシンプルで、海上貨物の運賃が想定以上に下落したこと、そして米国の関税政策の影響で消費財の荷動きが鈍ったことです。
フォワーダーの立場で見ると、「最近ちょっと荷物弱いよね」という感覚が、そのまま数字に表れた形だと言えそうです。
これは日本郵船だけの話ではない
重要なのは、今回の動きは日本郵船だけの問題ではないという点です。
商船三井の決算を見ても、自動車船やエネルギーは好調な一方で、物流やコンテナ関連は厳しい状況が続いています。
つまり今の海運市況は、業界全体が良い 悪いという話ではなく 船種や事業ごとに完全に別マーケットになっていると言えます。
地政学リスクは続くが 物流の追い風にはなっていない
もう一つ押さえておきたいのが紅海情勢です。
日本郵船はスエズ運河を使わない前提を維持しており、喜望峰回りの航海が続いています。
これは船腹需給を引き締める要因にはなっていますが、物流事業の利益を大きく押し上げるほどの運賃上昇にはつながっていません。
船は足りない でも運賃は上がらないという、少しやっかいな局面が続いています。
実務目線で見ると これからが本番
今後を考える上で最大の変数は、やはり米国の政策動向です。
今回、自動車船は入港料延期で助かりましたが、物流事業は関税の影響を正面から受けました。
2026年度に向けて、関税や貿易政策がどう動くかによって、荷動きも収益構造も大きく変わる可能性があります。
物流実務の視点では、市況が良いか悪いかではなく どの貨物を どの輸送手段で扱っているかを、これまで以上にシビアに見極めるフェーズに入ったと言えそうです。
今回の日本郵船の決算は、その現実を非常に分かりやすく示した事例ではないでしょうか。






