投稿日:2026.02.17 最終更新日:2026.02.17
外国船に新税?米海事戦略で物流コストはどうなる
今回のテーマは、トランプ政権が発表した「アメリカ海事行動計画」と、そこに盛り込まれた外国建造船への重量課税構想です。
造船業支援の話に見えますが、実際には米国向け輸送のコスト構造そのものを変えかねない政策であり、荷主やフォワーダーにとっては見過ごせない内容になっています。
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重量ベース課税という発想
今回の計画では、米国の港に入港するすべての外国建造商船に対し、積載貨物の重量に応じた「インフラ・安全保障手数料」を課す案が示されました。
キログラム当たり1セントという穏やかなシナリオでも10年間で約660億ドルの収入が見込まれ、25セントという強気のシナリオでは1.5兆ドル規模に達する可能性があると試算されています。
徴収された資金は海事安全保障信託基金に組み込まれ、国内造船所の近代化や米国船籍商船隊の拡充に充てられる計画です。
この構造は、外国船から徴収した資金で国内造船を再生させるという、極めて分かりやすい保護主義モデルと言えます。
なぜ今この政策なのか
米国で400フィート以上の大型船を建造できる造船所はわずか8か所に限られており、商船建造能力は長年縮小してきました。
アジア勢との価格競争に敗れた結果ですが、トランプ政権はこれを単なる産業問題ではなく国家安全保障上の弱点と捉えています。
有事の際に軍事物流を支える商船を自国で確保できないというリスクを回避するため、コスト増を承知で国内回帰を促す狙いが見えます。
輸送コストへの影響
この課税が実施されれば、船会社は増加分をサーチャージとして荷主に転嫁する可能性が高くなります。
- 建材
- 原材料
- 農産物
- 重量のある低単価貨物
こうした品目は影響を受けやすく、結果として最終消費者価格の押し上げ要因となる可能性があります。
特に重量物を多く扱う輸出企業にとっては、数セントの増加でも総額では大きな差になり得ます。
輸送コストの構造が変われば、調達戦略や在庫配置の見直しも避けられません。
国際的な波紋と不確実性
この政策は事実上の関税障壁と見なされる可能性があり、WTOルールとの整合性や各国の報復措置が論点になると考えられます。
また、計画の実行には議会承認が必要であり、小売業界や製造業界からの反発も予想されるため、最終的な料率や適用範囲が修正される可能性も残されています。
それでも、米国向け輸送のコスト構造が将来的に変わるリスクは現実味を帯びており、輸出企業やフォワーダーは長期契約や価格設定の見直しを検討する局面に入ったと言えるでしょう。






