投稿日:2026.03.04 最終更新日:2026.03.04
ホルムズ封鎖で物流は止まる?中東危機のリアル
今回は3月3日の海事新聞の記事をもとに、米国によるイラン攻撃とホルムズ海峡の事実上封鎖が、世界のサプライチェーンと海運市場にどのような影響を与えるのかを整理していきます。
ポイントは、ホルムズ海峡という“世界最大級のチョークポイント”が揺らいでいるという事実です。
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ホルムズが止まると何が起きるのか
2月28日の軍事攻撃以降、ホルムズ海峡は事実上の封鎖状態にあります。商船3隻が攻撃被害を受け、船員の方に死傷者が出るという深刻な事態となりました。
これを受け、ギリシャ政府は自国船舶に航行回避を勧告し、他国の船主も慎重姿勢を強めています。つまり今、船主は「高い運賃を取ってでも通るか」「安全を最優先にするか」という極めて難しい判断を迫られているのです。
現在の状況
・通過船舶数が大幅減少
・250隻以上のタンカーが湾内に滞留
・各国が航行回避へ傾斜
運賃は上がるが、船は動くのか
攻撃前から中東―極東向けタンカー運賃指数(WS)は224と高水準でした。通常であれば、リスク上昇はプレミアム運賃の上乗せにつながります。
しかし今回は、単純な価格の問題ではありません。いくら運賃を引き上げても、船員の安全が確保できなければ船は出せないという現実があります。
「価格高騰」よりも「供給停止」リスクの方が深刻という局面に入りつつあるのです。
影響はタンカーだけにとどまらない
今回の混乱は原油輸送に限りません。紅海リスクを避けてペルシャ湾内に配船していた自動車船も足止めを受け、輸送スケジュール全体に歪みが生じ始めています。
さらに、LNGやLPGの輸送が滞れば、エネルギー価格の上昇を通じて電力コストや製造業コストへ波及する可能性があります。
- ガス価格の急騰
- 発電コスト増加
- 製造業の収益圧迫
といった連鎖が現実味を帯びてきます。
サプライチェーン戦略はどう変わるか
短期的には、中東発着運賃の異常高騰やバンカー価格の上昇が避けられず、全航路の輸送コストが押し上げられる可能性があります。
一方で中長期的には、中東依存という構造リスクが改めて可視化されたことで、調達先の多角化や代替ルート確保の動きが加速するでしょう。米国積みやアフリカ積みへのシフトも、より現実的な選択肢になってきます。
企業はもはや「平時前提」のサプライチェーン設計では対応できません。リードタイム延長を前提にした在庫戦略や、複数ソース化を含む調達設計への転換が求められています。
今回の本質
ホルムズ封鎖は単なる地域紛争ではなく、エネルギー・海運・物流コストを同時に揺らす構造的リスクです。
この危機が短期で収束するのか、それとも長期化するのかはまだ不透明ですが、確実に言えるのは、サプライチェーンの柔軟性と危機対応力がこれまで以上に重要になっているということです。






