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燃料が足りない?バンカー危機が海運を揺らす

燃料が足りない?バンカー危機が海運を揺らす | イーノさんのロジラジ

今回は3月12日の海事プレスの記事「バンカー供給体制が大混乱、滞船や輸送見合わせも発生」をもとに、中東情勢の緊迫によって海運の燃料供給がどれほど影響を受けているのかを、少しカジュアルに整理してみます。

ニュースでは「ホルムズ海峡封鎖」や「中東危機」といった言葉が目立ちますが、実際に海運業界の現場で深刻になっているのは、運賃よりもむしろ燃料の確保です。

つまり「船を動かしたくても燃料が確保できない」という、かなり異例の状況が発生し始めています。

動画視聴はこちらから

シンガポールの燃料価格が急騰

まず象徴的なのが、バンカー燃料の価格です。

シンガポール積みの硫黄酸化物排出規制適合油(VLSFO)は、9日時点でトン当たり1,083ドルまで上昇しました。

攻撃開始前と比べると価格はほぼ2倍です。

しかもこの水準は、2022年以来初めてシンガポールで1,000ドルを突破した価格でもあります。

世界的に見ても燃料価格は同時に上昇しており、ロッテルダムでは726ドル、ヒューストンでも718ドルと、主要バンカリング拠点で値上がりが広がっています。

バンカー価格の急騰
シンガポールVLSFO:1083ドル
攻撃前から約2倍

原因はホルムズ海峡

では、なぜここまで燃料市場が混乱しているのでしょうか。

最大の原因は、ホルムズ海峡の事実上の封鎖です。

ホルムズ海峡は世界の石油輸送量の約20%が通過するエネルギーの大動脈です。

ここで輸送が滞ると、原油供給が細り、結果としてバンカー燃料の原料確保も難しくなります。

さらに今回の危機を深刻にしているのが、UAEのフジャイラです。

フジャイラは世界第3位のバンカリング拠点ですが、現在はバンカリング自体が困難な状態になっています。

つまり、アジアの燃料供給ネットワークの重要な拠点が同時に機能不全を起こしているわけです。

船社の判断は「運ばない」

こうした状況の中で、船社はかなり異例の判断を取り始めています。

それが燃料確保のめどが立たない輸送を引き受けないという対応です。

船社関係者のコメントでも、「いま問題なのは価格ではなく、そもそも燃料を確保できるかどうか」という声が出ています。

燃料調達の状況は地域によって差があり、アジアでは調達が難しく、大西洋側では比較的確保しやすいという状態です。

  • シンガポール:燃料確保が困難
  • 日本:調達が難しい
  • 韓国:調達が難しい
  • 大西洋地域:まだ調達可能

特にシンガポールでは燃料を確保できず、バンカリング待ちで滞船するケースも増えています。

その結果、世界の輸送キャパシティそのものが縮小するリスクも出てきました。

運賃市況にもじわじわ影響

燃料価格の急騰は、当然ながら海運市況にも影響します。

現在のバルカー市場では、航海用船料が上昇している一方で、定期用船料は下がるという少し複雑な動きが見られます。

燃料コストの急上昇が市場構造を歪めているためです。

さらに今後、次のような要因が重なれば、船腹需給はさらに引き締まる可能性があります。

  • バンカリング待ちによる滞船
  • 迂回航路の増加
  • 燃料節約のための減速運航

船腹不足を引き起こす要因
滞船増加
迂回航路増加
減速運航

日本への影響

日本にとって今回の燃料危機は決して他人事ではありません。

日本は島国であり、海運への依存度が非常に高い国です。

現在、日本の主要港でもバンカー調達が難しくなり始めており、特に日本企業が多く利用するシンガポール経由の燃料供給が不安定になっています。

この状態が続けば、日本の輸出入物流にも影響が広がる可能性があります。

今後の焦点

今回の危機は、世界のバンカリング拠点の脆弱性を改めて浮き彫りにしました。

シンガポールとフジャイラという2大拠点が同時に機能不全になると、世界の燃料供給は一気に不安定になります。

そのため今後は、燃料供給のリスク分散が大きなテーマになりそうです。

  • バンカー調達先の多様化
  • 燃料備蓄の強化
  • 代替燃料へのシフト

短期的には、バンカー価格が1200ドル台まで上昇する可能性も指摘されています。

もしそうなれば、輸送見合わせや減速運航がさらに広がり、世界の物流に新たな混乱をもたらすかもしれません。

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