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マースクが国内ドレージをデジタル化!ハコブ「MOVO Vista」で現場が変わる理由とは

マースクが国内ドレージをデジタル化!ハコブ「MOVO Vista」で現場が変わる理由とは | イーノさんのロジラジ

物流業界における「2024年問題」やドライバー不足を背景に、国内のドレージ業務(海上コンテナの陸送)にも効率化と安定供給が求められています。


そんな中、世界的海運企業のマースクが、国内ドレージの配車業務においてクラウド型配車管理システム「MOVO Vista(ムーボ・ヴィスタ)」を導入し、大きな成果を上げています。

この記事では、ハコブとマースクの協業によって実現されたドレージのデジタル化と、その実務的な成果について詳しく解説します。

ハコブ×マースク 意外な協業の実態

MOVOシリーズを展開するスタートアップ企業「ハコブ」は、国内のトラック輸送における配車・進捗管理をクラウドで一元化できるサービスを展開してきました。

これまで主に一般貨物のトラック輸送で導入が進んでいたMOVOですが、2022年からマースクと協力し、海上コンテナ輸送におけるドレージ業務への本格展開がスタート。

2024年6月にはマースク日本法人のロジスティクス&サービス部門全体に導入され、約50社の荷主と30社の協力トラック会社がMOVO Vistaを利用しています。

MOVO Vistaで何が変わったのか

ドレージ業務の特徴として、以下のような複雑性が挙げられます。

  • コンテナの番号、サイズ、種類などの細かな情報管理が必要
  • 本船の入港状況や通関スケジュールに影響されやすい
  • 配車の変更や柔軟な対応が日常的に求められる
  • 従来の電話やFAX、メールによる配車連絡では対応が限界に近づいていた中で、MOVO Vistaの導入によって次のような変化が起こりました。

  • 配車依頼、金額確認、請求業務までをクラウド上で一括管理
  • Excelで受け取ったオーダー情報をそのまま取り込み、トラック会社へ依頼
  • 配送の進捗もリアルタイムで共有
  • 配車業務の標準化が進み、社内の属人化も解消されつつあります。

    可視化による大きなメリット

    この取り組みで最も注目されているのが、「データの可視化」です。

    MOVO Vistaに蓄積された配車・配送情報を活用することで、マースクは以下のような分析と施策を実施しています。

  • 港別、仕向け地別、曜日別の輸送需要の傾向分析
  • 繁忙期や地域的な輸送力不足の予測と先回りした対応
  • トラック会社への発注見込み提示による車両確保
  • 実車率向上のための配車戦略の見直し
  • これにより、運送会社との信頼関係が強化され、マースク側の案件を優先してもらえる環境が整っています。

    データ活用は営業戦略にも

    MOVO Vistaに集約された情報は、配車効率化にとどまらず、営業活動にも活用されています。

  • 荷主別の売上や利益率の可視化
  • トラック会社別の支払実績の把握
  • 配送トレンドの分析結果を共有し、協力会社との関係強化
  • 実際に、2024年初頭からマースクは配送傾向データを協力会社にフィードバックする取り組みを始めており、好評を得ています。

    CRU(コンテナ・ラウンドユース)にも応用

    マースクでは今後、このMOVO Vistaの活用をCRU(コンテナ・ラウンドユース)にも展開する方針です。

    すでに北関東地域での輸入コンテナ需要が多いことがデータから判明しており、今後はこの地域からの輸出案件の開拓や新たなデポ設置を検討。

    空コンテナの効率利用によって、コスト削減・実車率向上・環境負荷軽減といった効果が期待されています。

    なぜこの取り組みが注目されるのか

    この事例が示しているのは、スタートアップとグローバル企業が現場視点で協力し、単なる「システム導入」にとどまらない、運用レベルで実効性のあるデジタル化を実現したという点です。

    デジタル化やDXは声高に叫ばれていても、実際の現場に「使える形で落とし込む」ことが難しい中、マースクとハコブのこの連携は、多くの物流企業にとって非常に参考になる取り組みといえるでしょう。

    まとめ

    物流業界で課題となっている輸送力確保や人手不足への対応として、現場主導のデジタル化が着実に成果を上げ始めています。

    このような取り組みが今後さらに広がっていくことで、日本の物流の競争力は確実に強くなっていくはずです。

    このブログでは今後も、現場で使える物流DXやサプライチェーンの革新事例を取り上げていきます。最新動向に関心のある方は、ぜひチェックを続けてください。

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