投稿日:2025.06.13 最終更新日:2025.06.13
マースクが国内ドレージをデジタル化!ハコブ「MOVO Vista」で現場が変わる理由とは

物流業界における「2024年問題」やドライバー不足を背景に、国内のドレージ業務(海上コンテナの陸送)にも効率化と安定供給が求められています。
そんな中、世界的海運企業のマースクが、国内ドレージの配車業務においてクラウド型配車管理システム「MOVO Vista(ムーボ・ヴィスタ)」を導入し、大きな成果を上げています。
この記事では、ハコブとマースクの協業によって実現されたドレージのデジタル化と、その実務的な成果について詳しく解説します。
CONTENTS
ハコブ×マースク 意外な協業の実態
MOVOシリーズを展開するスタートアップ企業「ハコブ」は、国内のトラック輸送における配車・進捗管理をクラウドで一元化できるサービスを展開してきました。
これまで主に一般貨物のトラック輸送で導入が進んでいたMOVOですが、2022年からマースクと協力し、海上コンテナ輸送におけるドレージ業務への本格展開がスタート。
2024年6月にはマースク日本法人のロジスティクス&サービス部門全体に導入され、約50社の荷主と30社の協力トラック会社がMOVO Vistaを利用しています。
MOVO Vistaで何が変わったのか
ドレージ業務の特徴として、以下のような複雑性が挙げられます。
従来の電話やFAX、メールによる配車連絡では対応が限界に近づいていた中で、MOVO Vistaの導入によって次のような変化が起こりました。
配車業務の標準化が進み、社内の属人化も解消されつつあります。
可視化による大きなメリット
この取り組みで最も注目されているのが、「データの可視化」です。
MOVO Vistaに蓄積された配車・配送情報を活用することで、マースクは以下のような分析と施策を実施しています。
これにより、運送会社との信頼関係が強化され、マースク側の案件を優先してもらえる環境が整っています。
データ活用は営業戦略にも
MOVO Vistaに集約された情報は、配車効率化にとどまらず、営業活動にも活用されています。
実際に、2024年初頭からマースクは配送傾向データを協力会社にフィードバックする取り組みを始めており、好評を得ています。
CRU(コンテナ・ラウンドユース)にも応用
マースクでは今後、このMOVO Vistaの活用をCRU(コンテナ・ラウンドユース)にも展開する方針です。
すでに北関東地域での輸入コンテナ需要が多いことがデータから判明しており、今後はこの地域からの輸出案件の開拓や新たなデポ設置を検討。
空コンテナの効率利用によって、コスト削減・実車率向上・環境負荷軽減といった効果が期待されています。
なぜこの取り組みが注目されるのか
この事例が示しているのは、スタートアップとグローバル企業が現場視点で協力し、単なる「システム導入」にとどまらない、運用レベルで実効性のあるデジタル化を実現したという点です。
デジタル化やDXは声高に叫ばれていても、実際の現場に「使える形で落とし込む」ことが難しい中、マースクとハコブのこの連携は、多くの物流企業にとって非常に参考になる取り組みといえるでしょう。
まとめ
物流業界で課題となっている輸送力確保や人手不足への対応として、現場主導のデジタル化が着実に成果を上げ始めています。
このような取り組みが今後さらに広がっていくことで、日本の物流の競争力は確実に強くなっていくはずです。
このブログでは今後も、現場で使える物流DXやサプライチェーンの革新事例を取り上げていきます。最新動向に関心のある方は、ぜひチェックを続けてください。